最終更新日 2023年6月29日

冬場に、ちょっとした油断で、ガス給湯器が凍結してしまったことはありませんか?

給湯器の凍結は、お湯が出ないだけではなく、水漏れなどの故障の原因にもなります。

ここはきちんと原因を知って、その対処方法や防止方法をマスターしておきたいところですよね。

そこでこの記事では、ガス給湯器の凍結原因と防止方法、凍結した場合の対処方法について、お伝えしていきます。

給湯器が凍結してしまう原因

給湯器が凍結してしまう原因は、大きく分けて3つあります。

外気温と水温と水の動きです。

<1>外気温が-4℃を下回ること

給湯器の凍結は、1、2月が多く、特に外気温が-4℃を下回るような極端に寒い日や、それ以上の気温でも風のある日は、凍結の危険性が高まります。

特に北側に設置している場合には、冷たい北風の影響で、凍結が起こりやすいようです。

これらは、給湯器の配管が家の外部に出ていることから起こります。

<2>水温が0℃を下回ること

水は0℃で氷になるので、外気温が0℃以下になり、給湯器本体や水道管が冷やされることにより、その配管内にある水の水温が0℃以下になり、凍ってしまいます。

給湯器と接続している水道管は、外気温の影響を受けやすいため、内部の水温も下がりやすく、凍結する可能性が高くなります。

<3>水の動きがないこと

水が0℃以下になった場合でも、水道管内で水が流れて動いている場合、つまり給湯器を使っている間は、凍結しにくくなります。

逆に給湯器を使用しない夜間や、長期間使用していない場合などは、水道管に水が溜まったままになっているため、凍結が起こりやすくなるのです。

例えば、旅行などで家を空けて使わない時間が長く続くと、配管に溜まった水が動かなくなるため、凍結しやすくなります。

給湯器の凍結しやすい部分

給湯器の中でも、凍結しやすい部分としにくい部分があります。

凍結しやすい部分は、以下の4箇所です。

【1】給水配管(水道管)部分

凍結がもっともよく起きるのが給水配管です。

水が通る(お湯が通らない)ので外気温の影響を受けやすく、水温が下がりやすいため凍結しやすい傾向があります。

【2】給湯器本体内の配管部分

給湯器本体は、後述する凍結防止機能により、よほどの低気温でなければ滅多に凍結するものではありませんが、外気温が-15℃を下回る時には、凍結防止機能が追い付かず、凍結する場合があります。

【3】本体と配管の接続部分

本体内部にヒーターが組み込まれていても、接続されている配管までは凍結を防止できません。

給水配管と接続している部分は金属製のため、凍結することが多いです。

また、給湯器の接続部分には水抜栓があるため、保温材などの防止対策がうまく施工されていない場合は、凍結の原因となります。

【4】追い焚き配管部分・給湯配管部分

追い焚き配管部分や給湯配管部分は、屋外に露出している部分が凍結しやすくなります。

ただ、水道水より水温が高いお湯が通る配管なので、配管の中では比較的凍結はしにくいです。

給湯器が凍結すると困ること

給湯器が凍結してしまうと、給湯器からお湯も水も出なくなり、まずお風呂や洗い物などに支障が出ます。

次に、凍結した箇所が給水配管部分や給湯配管部分の場合、内部で水が凍結し、膨張することで、配管にヒビや亀裂が入り、破裂して破損してしまいます。

すると、凍結した部分が解けた時に破損箇所から水漏れが発生し、内部配線と接続している部品に水がかかると漏電します。

漏電が発生すると電気回路や熱交換器まで故障し、機器が漏電を感知し機器内部のブレーカーが落ち、給湯器が停止します。

電気回路が故障すると高額な修理代が発生し、さらに熱交換器が破損すると熱交換器の取替え修理になります。

こうなると、破損個所にもよりますが、数千円~数万円にも上るでしょう。

つまり給湯器の凍結を放っておくと、給湯器そのものの故障に繋がり、高額な修理代が発生する可能性があるということです。

もちろん、修理が済むまで、お湯は一切使えなくなります。

給湯器の凍結予防のためにできること

給湯器の凍結予防のためにできることは、次の5つです。

面倒な手順のものもありますが、凍結すると余計面倒なことになると思って、あらかじめ備えるようにしましょう

【1】凍結予防ヒーターを活用する

凍結予防ヒーターはすべての給湯器に装備されています。

外気温が下がると自動的に給湯器内の給湯回路の配管を保温するヒーターが作動し、配管をあたためることで凍結を防止します。

電源プラグがしっかりとコンセントに差し込まれていることを確認しておきましょう。

【2】浴槽に残り湯を残し、自動ポンプ運転を作動させる

自動ポンプ運転は、追い焚き機能があるふろ給湯器に装備されている機能で、給湯器と浴槽を循環させる追い焚き配管の凍結を防止できます。

気温が一定温度以下になり、かつ、浴槽の水が循環口(水とお湯の出入り口)よりも上に残っていれば自動的に作動します。

したがって、残り湯が浴槽の循環アダプター上部より5cm以上ある状態にしておきましょう。

この機能は外気温が凍結する温度に近くなると自動的に作動するため、給湯器リモコンがOFFになっていても作動します。

【3】給湯栓からお湯を流す

蛇口から少量の水を出したままにしておく(水が流れている状態にしておく)ことが凍結防止に有効です。

簡単にできる予防策なので、今夜はかなり冷え込むなという時には、しておくことをおすすめします。

お湯を出す給湯栓であれば、お風呂でも、それ以外の台所、洗面所でも大丈夫です。いずれか1ヵ所をあけてください。

ガス給湯器等のリモコンの運転スイッチを「切」にします。

給湯器本体の電源は切らず、コンセントも抜かずそのままにしておきましょう。

リモコンがない場合は、ガスの元栓を閉じます。

お湯の出る蛇口から1分間に約400ミリリットル(水の幅 約4mm)の水を流し続けます。

できれば浴槽などで水を受けると経済的です。

ただし、浴槽から水が溢れることがあるので、排水口周りを塞がず、溢れた水が流れるようにしておきましょう。

サーモスタット付きやワンレバーの混合水栓の場合は、最高温度の位置にしておきます。

シャワーから水を流す場合は、シャワーヘッドは浴槽にたまった水につからない位置にしておきましょう。

【4】給湯器の水抜きする

凍結が危ぶまれる時、旅行などで長期的に不在にすることが分かっている場合に有効です。

ガス給湯器等のリモコンの運転スイッチを「切」にします。(ただし電源プラグは抜かない)
ガス栓を閉めます。
給水元栓を閉めます。
給湯栓を全て開けます。(シャワーや台所水栓を含む)
水抜き栓を開けます。(給水・給湯の両方)

次に風呂側の水抜きを行います。必ず給湯器側の水抜きを終えてから行ってください。

浴槽水を完全に排水します。
リモコンの運転スイッチを入れ、「追い焚き」を押します。(循環金具から水またはお湯が出てくることを確認する)これを2回繰り返します。
排水確認後、運転スイッチを切ります。
給湯器の風呂往・戻水栓、ポンプ水抜き栓、風呂水抜き栓、中和器水抜きを開けて完全に排水します。
電源プラグを抜きます。

水抜きは機種により手順が異なる場合がありますので、必ず取扱説明書を確認して水抜きを行ってください。

【5】配管周りにヒーターや断熱材(保温材)を設置する

凍結しにくくするために、給湯器配管まわりに保温材や断熱材等を設置すると、より効果的です。

凍結防止グッズはホームセンターやネット通販でも手に入れる事ができますし、施工業者によっては、給湯器の交換と一緒に凍結防止グッズの販売・設置もしています。

長年の使用で保温材が傷んでいる場合は、交換をおすすめします。

また、凍結防止ヒーターを設置し、電気を使って配管を直接熱す方法もあります。

日中も氷点下が続く地域の場合は、電気ヒーターの取り付けも検討しましょう。

この方法は電気を扱い、しっかりとした施工をしないと新たなトラブルを引き起こす原因になるため、業者に依頼することをおすすめします。

給湯器の配管周りは外気温の影響を受けやすく特に凍結しやすい部分です。

そうした寒さに弱い部分を保護することも、凍結防止になります。

給湯器が凍結してしまった場合の対処方法

次に、給湯器が実際に凍結してしまった時の対処方法をお伝えします。

【1】自然解凍を待つ方法

まず、給湯器の電源を切り、外気温が上昇して凍結した部分が自然解凍されるのを待ちます。

給水栓から水が出るようになったら、給湯器本体、給湯器周辺の配管から水漏れがないかを確認しましょう。

もしも給湯器から水漏れがある場合は、凍結により配管が破損している可能性が高いので、給水配管のバルブを止めて、水漏れの対処を行い、速やかに専門業者に連絡しましょう。

【2】急ぎで凍結を解消してお湯を出したい時の対処方法(応急処置)

すぐにお湯を使いたい、自然解凍まで待てない、という場合には、次のようにします。

キッチンや浴室にある給湯器のリモコンの電源を切ります。

給湯器本体の電源は切らず、コンセントも抜かずそのままにしておきます。

リモコンがない場合は、ガスの元栓をしっかりと閉めましょう。

室内のお湯が出る方の蛇口(給湯栓)を少し開けておきます。
凍っていると思われる給湯器の配管(特に水が出る配管)部分や元栓部分に乾いたタオルを巻いて、人肌程度(30〜40℃)のぬるま湯をゆっくりかけます。
元栓が回る(水が流れる音がする)ようになったら、②で開けておいた室内の給湯栓を閉めます。
濡れたタオルを外し、配管や給水元栓のまわりについた水を乾いたタオルでよく拭き取りましょう。

ただし、この方法を試しても水が出ない、若しくは給水元栓は回るのに水が出ないなどの場合や、気温が上がってしばらくしても水が出ない場合は、給湯器のメーカーへ問い合わせましょう。

急ぎで解凍する場合の注意点

給湯器が凍結したら、本来はできる限り自然解凍をおすすめしますが、どうしても急ぎで解凍したい場合は下記の点に注意しましょう。

  • 熱湯は絶対に使わない
  • お湯をかける時は、コンセントや電源コードにお湯がかからないように注意
  • 解凍されたら水分をよく拭き取る

上記の点は配管の破裂・感電・再凍結につながりますので、充分な注意が必要です。

ただし、少しでも不安な方や、初めて給湯器が凍結したというような場合は、安全のためにも早急に専門業者に依頼するのがいいでしょう。

【3】やってはいけない対処方法

下記の2点は、凍結対処方法として、決してやってはいけないことです。

<1>早く解凍するために凍結した配管や部品などに熱湯をかける

熱湯をかけると配管の破損につながります。

結果、高額な修理が必要となり、お湯を使えるようになるまでに時間がかかってしまいます。

<2>ぬるま湯をかけて給水元栓を解凍した場合に、ぬるま湯を拭き取らずにそのまま放置する

給水元栓や配管、保温材にかけたぬるま湯がそのまま残っていると、その水が原因で再び凍結します。

ぬるま湯で解凍を行った場合は、必ずすべての水を丁寧に拭き取るようにしましょう。

【4】最も推奨できる方法は自然解凍を待つ方法

給湯器や配管が故障・破損してしまうと、修理や交換が必要となってしまうので、時間はかかりますが、自然解凍を待つのがおすすめです。

万が一、配管破損・給湯器故障が起こった場合は、すぐに専門業者に連絡しましょう。

凍結による給湯器の修理を業者に依頼する場合

給湯器は「お湯を出す」という生活に最も必要な器具であるため、「自然解凍を待つ余裕がない」「自身ではすぐに故障対応できない」ことがほとんどです。

そのため、給湯器が故障したと感じたら、すぐに修理業者に相談することをおすすめします。

業者選びの際には「実績のあるしっかりとした業者であるか」「すぐ対応してくれる業者であるか」「料金を明示している、或いは見積もりを明確に出してくれる業者であるか」などが大きなポイントになるでしょう。

業者に修理を依頼した時の費用相場

給湯器が凍結した場合の修理・交換費用は、保証期間内であっても有償修理になります。

給湯器の種類や破損している場合などで費用は異なりますが、目安として下記一覧に記しておきます。

給湯器の修理内容費用相場
水道管の凍結修理約8,000円~
排水管の凍結修理約15,000円~60,000円
室内配管破裂修理約35,000円~60,000円
電子基板の破損修理約50,000円~100,000円
給湯器交換約100,000円~250,000円

冷え込みが厳しいことが予想される時は、あらかじめ予防策を取っておこう!

以上、給湯器の凍結原因から、凍結防止方法、凍結対処方法、業者に依頼する場合と見てきました。

冬場の給湯器は生活必需品ですので、普段から気をつけて、凍結しないように予防策を取っておきましょう。

特に冷え込みの激しい季節、冷え込みの激しい地域の方は、天気や気温の情報を常にチェックして、予防策を取ることが望ましいです。

それでも万が一凍結してしまったら、落ち着いて自然解凍を待つか、応急処置をし、直らなければすぐに業者に依頼するといった措置を講じることが大切です。