お風呂の寿命はおよそ15年~20年。リフォームの検討時期や長持ちさせる方法も解説
最終更新日 2023年7月31日
お風呂の寿命(耐用年数)は、一般的に10年~20年と言われています。
また、お風呂に付属する設備である給湯器や換気扇、浴室乾燥機の耐用年数も同じくらいです。
しかしこれらお風呂・関連備品は使い方次第で、耐用年数がもっと短くなったり、もっと長持ちしたりします。
長い人では、お風呂を30年以上使い続けている例もあるほどです。
しかし今回解説するようないくつかの症状が現れたら、お風呂のリフォームを検討すべきかもしれません。
この記事では、リフォームを検討すべきかどうか見極める10のポイントと、お風呂の寿命を長持ちさせる3つの方法を解説します。
お風呂のリフォームの検討時期を見極める10のポイント
お風呂のリフォームの検討時期を見極めるポイントは、浴槽のなかを点検するだけにはとどまりません。
お風呂に付属する、さまざまな設備の故障や劣化もリフォーム時期を見極めるポイントになります。
「見るべきポイント」は以下の10点です。
- ポイント1:コーキング材の劣化
- ポイント2:掃除をしても取れないカビや、進行しているサビがあるかどうか
- ポイント3:排水口の流れが悪く、嫌な臭いがするかどうか
- ポイント4:浴槽の劣化(ひび割れなど)
- ポイント5:壁・床の目立つヒビやサビ、めくれ、ふくれなど
- ポイント6:換気扇の効きが悪いかどうか
- ポイント7:シャワーの温度調整が効きづらいかどうか
- ポイント8:ドアの建てつけや手すりのぐらつき
- ポイント9:水漏れの発生具合
- ポイント10:部品の生産販売が終了しているかどうか
ポイントは、普段から気をつけてチェックしてみましょう。
ポイント1:コーキング材の劣化
「コーキング材」とは、浴室内の壁と壁のつなぎ目や、浴槽と壁の隙間をふさぐための材料のことです。
このコーキング材に、ひび割れや痩せ、はがれ、カビの固着などの劣化が見られたら、お風呂の寿命が近づいているといえます。
コーキング材本来の目的は、各材の隙間から内部に浸水するのを防ぐことです。
したがって、コーキング材の劣化を長く放置してしまうと、隙間から内部に浸水し、水漏れや腐食の原因となります。
コーキング材の劣化は、シロアリの被害も招きます。
また、コーキング材が古くなると防カビ効果も薄れてくるので、浴室内にカビが繁殖しやすくなり、床や壁の劣化にも繋がります。
ポイント2:掃除をしても取れないカビや、進行しているサビがあるかどうか
カビやサビは、掃除で落ちると思う方が多いかもしれません。
しかしながらカビは何度掃除を繰り返しても取り除けないものです。
カビがすぐにまた増えていく場合は、表面だけでなく、浴室の内部までカビに侵食されている可能性があります。
特に、コーキング材にひび割れや腐食した部分があると、そこから浸水が起き、壁の中にもカビが発生してしまうことがあるのです。
カビは強力な洗剤で掃除すれば一時的に落とすことはできるものの、掃除をしても取れない場合や、すぐにまた生えてくる場合は、長い年月を経て内部に頑固な根を生やしている可能性があります。
このためどんどんカビによる腐食が進んでいき、やがてカビが浴室内に広がり、お風呂全体がボロボロになることがあります。
またカビを除去しようとして使う、除去用洗剤は強力です。
カビ除去洗剤を頻繁に使うと、コーキング材にダメージが蓄積し、悪循環に陥ってしまうこともあります。
サビも同様に、初期であれば取り除きは容易なものの、放置すると固着・腐食が進み、浴室の劣化の原因になります。
カビやサビによって劣化がひどくなっていると取り替えるパーツが多くなりがちです。
結果的に、カビやサビの放置により浴室全体をリフォームした方がいいということも起こり得ます。
ポイント3:排水口の流れが悪く、嫌な臭いがする
排水口の流れが悪かったり、排水口から嫌な臭いがしたりする場合は以下の原因が挙げられます。
- 排水管が汚れている
- 排水口の内部にある「排水トラップ」が不具合を起こしている/壊れている
「排水トラップ」とは、排水管や排水口の内部に水(封水)を貯めておいて、排水管から屋内に害虫や悪臭が上がってこないようにする仕組みのことです。
排水トラップが不具合を起こしていると、封水を貯めておくことができず、悪臭が上がってきてしまうのです。
こういった不具合の原因には以下が挙げられます。
- 構造上の故障
- 排水管やパッキンの劣化
- パーツの破損
排水トラップが劣化すると、劣化部分から水漏れが発生し、内側から腐食が始まります。
毎日石けんやシャンプー、髪の毛や皮脂などが流れていく排水口は、汚れやすく、雑菌が繁殖しやすいのです。
「パイプクリーナー」などを使って掃除をしても悪臭が消えない時には、経年の汚れが溜まっているか、排水トラップが故障しているため、寿命を迎えているといえるでしょう。
ポイント4:浴槽の劣化(ひび割れなど)
浴槽にひび割れができている場合も、寿命を疑うポイントになります。
浴槽のひび割れが起きる原因は、次の3つです。
- 原因1:経年劣化
- 原因2:硬いものが当たった衝撃
- 原因3:コーティング効果の劣化
浴槽のひび割れは水漏れの原因となるため、15年以上使用している場合は、リフォームを検討するサインであるといえるでしょう。
またユニットバスなどで、ヒビやふくれなどの部分から赤茶色の汚れが出てきた場合、それはユニットバスを取り付けている金具のサビです。
この場合は、ユニットバスの劣化が進んでいると考えて、リフォームを検討しましょう。
ポイント5:壁・床の目立つヒビやサビ、めくれ、ふくれなど
壁や床のタイルや化粧パネルがひび割れたりめくれたり、水ぶくれのようになったりしている場合も、お風呂の老朽化が進んでいるはずです。
はじめは目立たないほど小さな傷やひび割れでも、放置すると劣化が進み、他の部分へと広がっていきます。
特にタイル材で施工された浴室は、経年劣化によりコーティングが剥がれ落ち、ひび割れを引き起こしやすくなるのです。
こういった壁材や床材の不具合は、破損箇所からの内部への浸水を許します。
浸水は骨組みに直接ダメージを与え、ダメージがやがて腐食や水漏れに繋がる可能性があるのです。
また、タイル材そのものが割れたりはがれたりしている場合は、利用者がケガをする恐れがあるので危険です。
もし現在、壁や床に痛みがある状態であれば、そこに水がかぶらないように応急処置をして、すぐにリフォームを検討する必要があるでしょう。
ポイント6:換気扇の効きが悪いかどうか
換気扇は、お風呂に湿気が溜まらないようにするために必要不可欠なもので、経年劣化するものです。
換気扇の効きが悪いのは、経年劣化による機能の低下や、換気扇の軸部分のオイル不足によるものが主です。
換気扇の寿命もお風呂と同程度です。
換気扇の調子が悪くなったら、お風呂も老朽化している可能性が高いといえます。
換気扇などは一定の年数を重ねると故障しやすくなり、修理してもまたすぐ別の箇所が壊れるなどして、修理代がかさむことがあります。
このため浴室の設備が故障したら、全体のリフォームを検討すべき時に来ているかも知れません。
たかが換気扇くらい、と思うかもしれません。
しかしながら換気扇の故障は、浴室の湿気を除去しにくく、カビを発生させやすくなるため、よりお風呂の劣化を招いてしまいます。
したがって換気扇の不具合は、放置せずに業者に修理を相談した方がいいでしょう。
ポイント7:シャワーの温度調節が効きづらいかどうか
シャワーのお湯の出が悪くなったり、温度調節が効きづらくなったりすることも、設備寿命の見極めの大事なポイントです。
どんなに浴室をきれいに保っても、肝心の設備が故障しては結果的にお風呂が利用できません。
設備の修理方法として水栓やシャワーの設備だけを交換するという手もあります。
しかしながらもし他にも何か症状が出ているのであれば、いい機会であるとして全体的なリフォームを考えるべきです。
ポイント8:ドアの建てつけや手すりのぐらつき
お風呂が寿命を迎える頃には、ドアの建てつけも悪くなったり、手すりがぐらついたりすることもあります。
ドアの建てつけは、浴室全体のゆがみや枠の劣化が原因である可能性があり、手すりのぐらつきは、固定ビスのゆるみや下地の劣化からくる不具合から生じているといえます。
特にユニットバスの場合は、こうしたぐらつきが全体の不具合を意味している場合が多いので、「これくらいなら放置してもいいだろう」と思わずに、業者に相談しましょう。
ポイント9:水漏れが発生している
お風呂の水栓やシャワーの根元から水漏れが発生している場合は、お風呂設備が寿命を迎えている可能性が高いです。
水漏れが起こると、水が滲み出ることによって内部の腐食が進行し、結果的にシロアリの発生を招く原因にもなります。
水漏れの程度がひどくなるにつれて、リフォームの金額は上がります。
最終的には浴室全体をリフォームする事態にすらなりうるため、水漏れには早急に対処しましょう。
ポイント10:壊れた部品の生産販売が終了している
浴室を構成する部品の保有期間は、メーカーや商品によって異なるものの、ユニットバスをはじめ住宅設備は補修部品の供給期限が決められており、商品が製造中止になり数年経過すると、部品の製造も終了します。
このため、壊れた部品を修理交換しようとしても、その部品の生産販売が終了していたり、保存期間が過ぎて在庫がなかったりして、お風呂場の修理ができないことがあるのです。
したがって、浴室の部品が故障して部品が交換修理できないものであれば、お風呂全体が寿命を迎えたことを意味し、リフォームの検討時期だと捉えられます。
お風呂を長持ちさせる3つの方法
お風呂のリフォームを検討すべきポイントを知った後に知るべきことは、お風呂長持ちのためにできる努力です。
では、お風呂を長持ちさせる方法にはどんなものがあるでしょうか。
自分でできるお風呂寿命の延ばし方は以下の3つです。
- 方法1:こまめに掃除する
- 方法2:湿気をできる限り抑え、カビの発生を防ぐ
- 方法3:コーキング材のケアやメンテナンスをする
お風呂を長持ちさせるには、こうした「日常的なお手入れ」や「掃除」がとても有効です。
方法1:こまめに掃除する
当然ながらこまめな掃除を心がけることが、一番お風呂の寿命を長持ちさせる秘訣です。
以下、5つの掃除のコツを挙げていきます。
汚れは固まる前に落とす
お風呂の汚れは、大半が石けんカスと皮脂汚れです。
これらは時間が経つとともに徐々に固まっていき、掃除をしても簡単にははがれにくくなるため、早めに取り除くことが重要です。
お風呂汚れを落とす掃除をする時は、界面活性剤の入った弱酸性の洗剤で、丁寧に洗い落とすようにしましょう。
この際、汚れを洗剤でこすって落とすのではなく、洗剤で汚れを浮かび上がらせてから、スポンジですくうようにして落とすことが汚れを消し去るためのポイントです。
基本的には、汚れが固まらない間、つまりお風呂から上がったらすぐのタイミングで掃除をするのが一番効果的です。
お風呂上がりすぐの掃除が難しい場合は、お湯を抜いた後の浴槽全体に対して洗剤をスプレーし、水で洗い流すという手もあります。
浴槽内の汚れが固まる前であれば、発生した汚れは簡単に流れます。
風呂釜を内部まで清潔に保つ
風呂釜は、浴槽と違って内部が見えにくいため、どう掃除したらいいのか悩むところではないでしょうか。
風呂釜の内部とは、湯垢がヘドロ状に付着するものです。
放っておくと雑菌が繁殖し、汚れ・サビ・劣化の原因になります。
風呂釜の損傷が起こる前に、日頃から水抜きをしたり、ホースやシャワーの水を勢いよく流し込んだりして、清潔に保つべきです。
風呂釜用洗剤は、市販品も存在し。簡単に入手できます。
風呂釜には二つ穴(自然循環式)用と一つ穴(強制循環式)用の二種類があるので、自宅の風呂釜に合った方を選びましょう。
床・壁・天井の水気を拭き取る
お風呂に入った後、またお風呂の掃除をした後には、必ず床・壁・天井の水気を拭き取りましょう。
特に、床は水分の蒸発しにくさから、カビが発生しやすい場所です。
掃除の最後には必ず乾いたタオルで拭き取り、できるだけ水分を滞留させないようにしましょう。
撥水剤を定期的に使ってコーティングしておくと、床に水が溜まりにくくなります。
壁については、タイルの目地にカビが発生しやすいものです。
壁のカビは、市販のカビ取り剤できれいに洗い落としたくなるものです。
しかしながら、カビ取り剤は強力なため、コーキング材を傷めやすいというデメリットがあります。
普段は中性洗剤で洗っておいて、カビ取り剤は頻繁には使わないようにしましょう。
排水口の掃除を念入りにする
排水口はお風呂の中でも一番汚れやすい場所です。
湯垢や髪の毛、石けんカス、皮脂などがすぐに溜まってしまい、目詰まりを起こします。
そのため、定期的な掃除が必要です。
排水口用の洗剤が市販品として販売されているので、それで内部を溶かして流しましょう。
重曹とクエン酸を使うのもおすすめです。
また、10円玉やアルミホイルを排水口に入れておくと、ヌメヌメした成分を分解してくれます。
10円玉でぬめりの分解をする際は、使い古しのストッキングなどに入れて、排水口に吊るしてみる方法が適切です。
その他、100均で売っている髪の毛取りシートなども排水口のごみ取りに便利です。
掃除後は水分をしっかり拭き取る
掃除をした後は、床や壁・天井の水分を乾いたタオルや雑巾でしっかり拭き取りましょう。
これは、水分によって壁や天井がふやけて腐食してしまうのを防止するためです。
天井まで拭くのは大変です。
しかしながら水分を拭き取れば、お風呂の劣化を防ぎ寿命を延ばすことができるので、辛抱強く掃除してください。
方法2:湿気をできる限り抑え、カビの発生を防ぐ
お風呂を長持ちさせる2つ目の秘訣は、浴室内の湿気をできる限り抑えることです。
湿気の除去には3つの方法があります。
以下からそれぞれの方法について解説します。
こまめに換気する
入浴後やお風呂掃除の後は、湿気を除去するために必ず換気扇を回し、窓を開けましょう。
換気扇は浴室内の空気を吸い込むため、密閉していると効果が充分に発揮できません。
換気扇を回している間は、必ず窓も開けて空気を循環させましょう。
ユニットバスの場合は窓がない場合が多いので、バスのドアを開けておくのも効果的です。
ただしドアを開けていると、部屋の方に湯気が行くので、部屋の換気も忘れないようにしましょう。
こうすることで、湿気による劣化やカビの発生を防ぐことができます。
お風呂に入っていない時はフタを閉める
入浴時以外で浴槽にお湯が溜まっている状態の時は、必ず浴槽にフタをしておきましょう。
お湯を溜めた状態でフタを開けっ放しにしておくと、浴室に湿気が充満し、カビやサビの原因になります。
毎回お湯を抜く
浴室内に湿気を充満させないためには、入浴後毎回お湯を抜いておくのが有効です。
「お湯がもったいない」と思う方がいるかもしれません。
しかしながらお湯の放置により浴室が劣化して、リフォームする羽目になるよりはお金はかかりません。
方法3:コーキング材のケアやメンテナンスをする
コーキング材は、10年ほど過ぎた頃から劣化が目立つようになります。
コーキング材が古くなると、防カビ性能が低下するだけでなく、水が内部に浸水するのを防ぐことができず、構造部分の劣化や腐食を早めることにつながります。
しかし、コーキング材は、自分でどんなに丁寧に掃除しても、劣化するものです。
そのためお風呂の寿命を長持ちさせたい方は、3年~5年に一度はコーキング材の打ち直しやパッキンの交換をするといいでしょう。
これらの作業は自分でもできます。
しかし失敗すると二度手間になってしまうため、業者に任せるのがおすすめです。
お風呂の寿命は日々の心がけで延ばせる!
お風呂の寿命は10年~20年ではあるものの、日頃からこまめかつ丁寧に掃除・換気することで、寿命を延ばすことは充分に可能です。
もう何年もまともにお風呂のお手入れをしていないという方は、少しずつでも今回解説した方法でお手入れをするか、一度業者に見てもらうことをおすすめします。
お手入れの最中に、浴室内でリフォームをすべきポイントを発見したら、早めに業者に相談しましょう。
お風呂場の劣化を放っておけばおくほど、修復やリフォームに費用と時間がかかってしまいます。
電話やメールで無料相談を受け付けている業者もあります。
気軽に連絡してみてはいかがでしょうか。