水回りリフォームを検討したい時期やタイミングの見極め方
最終更新日 2023年4月27日
キッチン、浴室、洗面台、トイレなどの水回りは、毎日頻繫に使う場所です。
これが不具合を起こしてしまうと、生活に即支障が出てしまいます。
したがって、突然故障する前に、リフォームのタイミングが見極められるといいでしょう。
とはいえ、水回りのリフォームはそれなりに費用もかかるものですから、簡単にリフォームするわけにもいきません。
そこでこの記事では、水回りの各設備のリフォームを検討したい時期と、リフォームするタイミングを見極めるポイントについてお伝えしていきます。
水回りのリフォームを検討したい時期
水回りの平均寿命は、設備によって違いますが、10年~20年と言われています。
一般的には、10年を過ぎるころから、リフォームを意識するようにした方がいいでしょう。
不具合はすぐ目につきやすいところばかりに起こるわけではないので、知らない間に内部の腐食などが進んでいる場合もあります。
すると、各設備全体のリフォームや、家の構造部分からのリフォームが必要になり、思ってもみないほどの出費になることがあるため、注意が必要です。
ここでは、一つひとつの設備について、リフォームを検討したい時期を見ていきましょう。
キッチン
キッチン・台所のリフォームを検討したい時期は、10年~20年が目安です。
キッチン本体の基本的な耐用年数は、15年~20年とされていますが、キッチンの排水管やコンロ、IHクッキングヒーターなどの周辺機器の耐用年数は、10年が目安になります。
特に、毎日頻繫に使う水栓金具やガスコンロなどの寿命は、およそ10年程度です。
水栓金具は、蛇口をしっかり閉めてもポタポタ水漏れするようになったり、動作がなめらかでなくなってきたりしたら、修理かリフォームを検討する時期と言えるでしょう。
ガスコンロは、普段のお手入れ次第で寿命が変わってきます。
ひどい油汚れを放っておくと、素材が腐食し、寿命が縮まってしまう上に、汚れが詰まって着火異常が起きたりします。
こういったことになると、使い続けるのは危険なので、早めに交換すべきと言えるでしょう。
浴室
お風呂のリフォームをする時期は、15年~20年が目安になります。
浴槽本体の寿命は30年ほどですが、お風呂場の排水管や給湯器、浴室暖房、換気扇などの耐用年数は10年~15年程度です。
したがって、全体的なリフォームはまだよくても、周辺機器の交換やメンテナンスは必要になります。
また、お風呂場は、家中で最も水気が溜まりやすい場所であるため、10年以上使用していると、浴槽や壁・床だけでなく、内部にもカビが侵食して腐食が進んでいる場合があります。
こまめに掃除してもすぐにカビが発生したり、コーキング材(壁と浴槽を繋いでいる部分など)に劣化が見られたりするようであれば、リフォームを検討した方がいいでしょう。
洗面台
洗面台のリフォームを検討する時期は、10年~20年が目安です。
しかし、洗面台の内部にある排水管などの耐用年数は10年程度、水栓のパッキンは5年程度が交換の目安となっています。
したがって、洗面台全体のリフォームはまだ先でも、部品ごとの修理やメンテナンスが必要になってきます。
洗面ボールにひび割れがあったり、水漏れなどがあったりする場合は、寿命内であっても、リフォームを検討すべきと言えるでしょう。
また、洗面所は湿気が多い場所であるため、周辺の壁や床が腐食してしまい、壁紙やフローリングを張り替えるといったリフォームを行う必要も出てきます。
洗面台のリフォームを考える際には、洗面所全体のリフォームも視野に入れましょう。
トイレ
トイレのリフォームを検討する時期は、10年~15年が目安です。
便器とタンクは陶器製で、頑丈に作られているため30年~50年ほどと長く耐えられますが、タンク内のボールタップやフロートバルブなどの部品の寿命は5年程度であり、配管やパッキンなどの寿命は15年程度とされています。
ただ、トイレの寿命に関しては、その使用頻度によって変わってきます。
家族の構成人数が多かったり、使用頻度が高かったりする場合は、もっと早まってくるでしょう。
トイレの室内の壁や床、天井なども経年劣化していくため、15年~20年に一度は全体的なリフォームをすることが望ましいと言えます。
リフォームのタイミングを見極めるポイント
一般的に水回りのリフォームは、10年以上が目安ですが、そのタイミングを見誤ると、大規模なリフォームが必要になったり、思いもよらない費用がかかったりします。
そこでこの項では、リフォームのタイミングを見極めるポイントを、設備ごとにお伝えしていきます。
キッチン
キッチンのリフォームを見極めるポイントは、以下の5つです。
- 蛇口からの水漏れ
- 排水口の詰まり・悪臭
- ガスコンロの異常
- シンク下の水漏れ・湿気・カビ・悪臭
- フローリングの腐敗
これらはどれも見てわかりやすいので、普段から意識するようにしましょう。
蛇口からの水漏れ
蛇口からの水漏れは、水栓の経年劣化が主な原因であり、リフォームの大きなサインになります。
特に、水栓の接続部分からの水漏れ、蛇口の付け根からの水漏れ、水栓を閉じても吐水口からの水が止まらないなどのサインがあれば、すぐにリフォームを検討しましょう。
漏れ出した水が配管を伝って下に垂れていった場合、配管の金属を腐食させたり、キッチン本体にダメージを与えたりする場合があります。
また、マンションで下の階まで水が漏れ、損害賠償に発展したケースもあります。
したがって、蛇口の水漏れは放置せず、すぐに業者に相談した方がいいでしょう。
排水口の詰まり・悪臭
キッチンの排水口が詰まっていると、ひどい臭いが発生します。
排水口には、ゴミを受けるキャッチャーの下に、U字型の排水溝があり、排水溝からの臭いや害虫などを防ぐ排水トラップと、下水に水を流す排水パイプがあります。
食べかすや油汚れ、水垢などが溜まってヌメリとなっていると、この3つが汚れてしまい、悪臭を放つようになるのです。
また、ヌメリがある部分には雑菌やカビが繫殖しやすいため、さらに排水口を詰まらせ、悪臭の原因になります。
対策としては、ふだんからのこまめな掃除が望ましいですが、掃除をしても詰まりやヌメリ、悪臭が取れない場合は、早めに業者に相談しましょう。
ガスコンロの異常
ガスコンロの多くは、テフロン加工といって汚れが付きにくい加工がされていますが、素材は金属でできているため、油汚れから腐食します。
特に、コンロの安全センサーや着火プラグ、バーナーなどを濡れたり汚れたりしたままにしておくと、着火の際に異常を起こしたり、点火しなくなったりする場合もあります。
しかし、ガスコンロをきれいに掃除しても、ずっと調子が悪いままであれば、最悪ガス漏れを起こしてしまう場合があるため、早急に修理か交換が必要になるでしょう。
シンク下の水漏れ・湿気・カビ・悪臭
シンク下は、あまり見ない場所かもしれませんが、重要なところです。
シンク下に水漏れがあったり、湿気が異常に高かったりする場合は、排水関連の異常が考えられます。
排水管のゴムパッキンの劣化、ネジの緩み、排水管やホースからの水漏れ、排水管の詰まりなどによる逆流などが原因です。
この場合は、劣化した部品を早急に交換する必要があるでしょう。
また、シンク下には下水に繋がる配管があり、その接続部に隙間があると、下水の臭いが漏れてくる場合があります。
排水管は、パイプクリーナーなどで一時的にきれいにすることはできますが、掃除をしても悪臭が取れない場合は、配管の故障も考えられるため、業者に相談した方がいいでしょう。
また、シンク下にカビが繁殖していると、キッチンの本体を傷めてしまいます。
特に木製のキッチンの場合は、カビによる腐食でダメになってしまう可能性が高いため、シンク下にカビが繁殖していて、掃除してもすぐに生えてきてしまう場合は、キッチン本体のリフォームを検討した方がいいかもしれません。
フローリングの腐敗
キッチンの床のフローリングがふくらんでいたり、湿っていたり、緩んでいるようだと、床材が腐敗してしまっている可能性があります。
原因は、排水管の詰まりや、排水管のパッキンのひび割れなどで水がシンク下から漏れ出し、床下に堆積してしまうことです。
このような症状がみられた場合は、キッチン全体のリフォームを検討した方がいいでしょう。
浴室
浴室のリフォームを見極めるポイントは、以下の5つです。
- タイルや浴槽のひび割れ
- シャワーや蛇口からの水漏れ
- 掃除しても落ちないカビやサビ
- お風呂場入り口のフローリングの傷み
- お風呂場の使い勝手の悪さ
どれも大事なポイントですので、注意して見落とさないようにしましょう。
タイルや浴槽のひび割れ
お風呂場のタイルや浴槽、またはコーキング部分(浴槽と壁や床との接続部分など)にひび割れが生じているなら、リフォームを検討する時期です。
タイルや浴槽のひび割れは、経年劣化によるものが多いですが、こういったものにひびが入るということは、壁面や床面が影響を与えており、お風呂周りの土台や柱がゆがんでいる可能性があります。
放っておくと、浴室全体が崩壊してしまう恐れがあるのです。
何かが当たってひび割れたなど、物理的な理由が思い当たらないひび割れは、早めに専門の業者に相談した方がいいでしょう。
また、コーキング部分の劣化は、水漏れだけでなく、浴室のカビの繁殖や、内部の腐食の原因となり、最悪の場合はシロアリの被害に遭うこともあるため、早めにリフォームを検討するのがおすすめです。
シャワーや蛇口からの水漏れ
シャワーや蛇口からの水漏れは、経年劣化によるパッキンや排水管の劣化によって起こります。
パッキンの劣化くらいであれば、修理も簡単ですが、水漏れを長く放置しておくと、内部に水がにじみ出して腐食が進み、シロアリの発生を招いたり、集合住宅であれば階下に水漏れして大問題になったり、リフォームも大掛かりなものになってしまいます。
最終的には浴室全体をリフォームすることにもなりかねないため、水漏れには早急に対処しましょう。
掃除しても落ちないカビやサビ
掃除してすぐ落ちるカビやサビもありますが、何度掃除を繰り返しても、取り除くことができないカビやサビがあり、すぐにまた汚れてしまう場合は、表面だけでなく、浴室の内部にまでカビやサビが侵食している可能性があります。
特に、コーキング部分にひび割れや腐食があると、そこから浸水することによって、壁の中にもカビが発生してしまうことがあるのです。
カビは、強力な洗剤で掃除すれば一時的に取れたように見えますが、すぐにまた生えてくる場合は、長い年月を経て壁や床の内部に頑固な根を生やしているため、放っておくとどんどん腐食が進んでいき、やがて浴室全体に広がってボロボロになってしまう可能性があります。
サビも同じように、軽いものであれば取り除くことはできますが、放置すると固着・腐食が進み、浴室の劣化の原因になります。
カビやサビによって劣化がひどくなっていると、修理や交換するパーツが多くなり、結果的に浴室全体をリフォームした方がいいということにもなり得るため、早めに見極めるようにしましょう。
お風呂場入り口のフローリングの傷み
お風呂場の入り口付近のフローリングが、踏むとフワフワしていたり、変色したりする場合、フローリング材が腐敗していて、リフォームや修繕をしないといけない場合があります。
お風呂場入り口のフローリングには、洗面台や洗濯機などが面していて、湿気や水気が多く発生しやすく、また風通しがあまり良くないため、湿気や水気が溜まりやすくなっています。
特に、フローリングと浴室との境目は、お風呂から上がった時に身体からしたたり落ちる水滴が間に入りやすく、腐敗しやすい場所です。
腐敗したフローリングを放っておくと、どんどん範囲が広くなっていってしまうため、もしこういったサインを見つけたら、早めに業者に相談した方がいいでしょう。
お風呂場の使い勝手の悪さ
長年使い続けてきたお風呂であっても、古くなると掃除がしにくくなったり、足を伸ばせないことが原因で、あまり疲れが取れないと感じたりすることがあります。
特に、歳をとると、バリアフリーが気になったり、ゆったりと足を伸ばせるお風呂に浸かりたくなったりと、お風呂場の使い勝手の悪さが気になることが多くなるでしょう。
お風呂は毎日の疲れを癒す場所だからこそ、快適な空間であるようにしたいものです。
こういった場合は、特に劣化が見られなくても、お風呂場のリフォームを検討する時期かもしれません。
洗面台
洗面台のリフォームを見極めるポイントは、以下の4つです。
- 洗面ボールのひび割れ
- 蛇口やシャワーホースからの水漏れ
- 洗面台の下の水漏れ・湿気・カビ
- 鏡の老朽化
お風呂と共通することもありますので、注意して見てみましょう。
洗面ボールのひび割れ
洗面ボールは陶器で作られているため、本来であれば、長くきれいに使うことができます。
しかし、長年使用するうちに経年劣化でひびが入ったり、何かを落とした衝撃でひびが入ったりすることもあります。
ひび割れを放っておくと、洗面台の下まで水がしたたり落ちてしまい、リフォームするべき箇所が大幅に広がってしまいます。
ひび割れを発見したタイミングで、購入してから長い時間が経過していれば、リフォームを検討する時期だと言えるでしょう。
蛇口やシャワーホースからの水漏れ
洗面台の蛇口にシャワーホースがついている場合は、ホースの摩擦と経年劣化で、ホースや接続部分のゴムパッキンに穴が空いてしまい、水漏れを起こすことがあります。
シャワーホースの寿命は10年程度のため、10年を目安に交換することが必要です。
ただし、シャワーホースのタイプには、交換できないタイプもあり、この場合は蛇口から交換しなければならないため、メーカーへの問い合わせをしてから、リフォームを検討しましょう。
また、蛇口に亀裂が入っているような場合は、部品交換ではなく、洗面台全体を交換しなければならないため、全面的なリフォームが必要になるでしょう。
洗面台の下の水漏れ・湿気・カビ
洗面台の下は、キッチンと同じで排水管が通っているため、温度・湿度が高く、カビが繫殖しやすい環境です。
特に、排水管から水漏れしていると、水気や湿気が溜まり、カビの温床になります。
水漏れはもちろん、掃除をしてもすぐにカビが発生するという場合は、内部にまでカビが繁殖している可能性が高いため、リフォームを検討した方がいいでしょう。
鏡の老朽化
鏡は、定期的に掃除していても、水回りという特性上、こびりついた水垢や皮脂汚れなどが目立ってしまう部分です。
鏡のウロコ取りで何度やってもウロコが取れない、あるいはすぐにウロコがついてしまう、また鏡の周囲がサビている、カビが生えているなどの場合は、鏡の老朽化が考えられます。
老朽化した鏡は、ある日突然割れたりして危険なので、洗面台全体のリフォームが必要になるでしょう。
トイレ
トイレのリフォームを見極めるポイントは、以下の4つです。
- トイレからの水漏れ
- トイレの頻繁な詰まり
- ウォシュレット便座の故障
- 壁材や床材の傷み
トイレは、毎日頻繫に使う場所なので、リフォームの見極めを誤らないようにしましょう。
トイレからの水漏れ
トイレの水漏れの可能性が高い場所は、給水管の接続部分、止水栓付近、排水管接続部分、タンク付近の4か所です。
水漏れの原因は、ゴムパッキンの劣化や、ナットやボルトの緩みが考えられます。
しかし、ナットやボルトを閉めても水が止まらない場合や、ゴムパッキンを交換しても水漏れが直らない場合は、リフォームを検討する時期だと言えるでしょう。
トイレの頻繁な詰まり
トイレが頻繁に詰まるということは、トイレの排水トラップや、排水管の内部に汚れが付着し過ぎて、それが上手く機能していないということです。
頻繫に詰まると、その度に業者を呼ばなくてはならなくなり、お金ばかりかかってしまいます。
トイレが頻繫に詰まる場合は、トイレ本体や排水管まで含めたリフォームを検討しましょう。
ウォシュレット便座の故障
ウォシュレット便座は、家電と同じでだいたい10年程度が寿命になります。
発生しやすい不具合は、リモコンの故障、洗浄ノズルの故障、便座の自動開閉、便座の暖房の故障などです。
最近のウォシュレット便座は、多機能なものが多くなっていますが、多機能なものほど故障や不具合が発生する確率は高まります。
保証で直せる時期は良いですが、保証期間を過ぎているようならリフォームを検討しましょう。
壁材や床材の傷み
トイレの壁材や床材は、毎日きれいに掃除していても、長い間に汚れや臭いが染みついて取れなくなるケースが多いようです。
壁材や床材が黄ばんできたり、はがれてきたり、あるいはどんなに掃除をしても臭いが取れないようであれば、リフォームを検討する時期ではないでしょうか。
水回りのリフォームはタイミングが大事!
以上、水回りのリフォームを検討したい時期と、それを見極めるポイントについて、設備ごとに解説してきました。
水回りのトラブルは、放っておくと床や壁や土台にまで影響し、家全体のトラブルにもなりかねないものです。
したがって、しっかりとリフォームの時期を見極めて、タイミングを逃さないようにすることが重要です。
タイミングを逃してしまうと、大掛かりなリフォームが必要になってしまい、高額なお金がかかってしまう場合もあるでしょう。
小さな不具合でも放置せずに、発見したら早めに専門の業者に相談するようにしましょう。