最終更新日 2023年1月28日

日常生活で欠かせない水回り。

キッチンやお風呂場などへ水を供給してくれている給水管は日頃はあまり目につきませんが、段々と劣化していくものです。

いざ、異変を感じた時にどう対処していいかわからないという人も多いでしょう。

修理や交換を行うにしても費用はどのくらいなのか、交換するべきタイミングなのか、なかなか見計らいにくいものです。

今回はそんな給水管の寿命や交換目安、交換相場などについて詳しく解説します。

給水管の寿命はどのくらい?

まずは、給水管がどのくらいの寿命・耐用年数なのかを知っておく必要があります。

設置された時期や環境によって給水管に使用されている素材が異なり、素材によって寿命が異なるためです。

また、使用年数や使用頻度によっても寿命は左右されるので、あくまで参考程度と捉えてください。

金属管の寿命

古い水道管に良く使用されているのが金属管です。

金属でできている給水管のため、さびやすいという欠点があるため、現在ではほとんど使われていません。

寿命は約20年程で、現在金属管が使用されている場合には、寿命をすでに迎えている金属管がほとんどです。

金属管を使用していることが発覚したら、出来るだけ早めに給水管の交換をする必要があります。

ステンレス銅管

素材費用が少し高価になりますが、耐用年数が長いのが特徴のステンレス銅管。

ステンレスを使用しているのでさびにくく、耐熱性にも優れており、その耐用年数は30年以上です。

環境にも優しい素材にはなりますが、交換でステンレス銅管を選ぶと費用がかさんでしまうので、利用には業者と相談が必要です。

硬化ポリ塩化ビニル管

硬化ポリ塩化ビニル管というと聞きなじみがありませんが、「塩ビ管」といえば知っている方が多いかもしれません。

塩ビ管の耐用年数は約20~25年程と言われています。

塩ビ管は耐用年数に対して素材の値段が安価な為、給水管によく使われている素材です。

塩ビ管の中には、耐熱性が悪いものなどがあるので、交換の際には注意が必要です。

ポリエチレン管

ポリエチレンは塩ビ管に並んでポピュラーな素材とされており、多くの家屋で使用されています。

耐用年数は約30~40年と非常に長く、耐久性に優れているのが特徴です。

耐震性も十分にある為、日本で利用するのに適している素材として広く利用されています。

給水管の交換目安

給水管を交換する目安としては、「耐用年数を過ぎた時」「水質に違和感を感じた時」「水漏れが起こったとき」の3つに分けられます。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

目安1:耐用年数を過ぎたとき

目立った違和感がなくても、耐用年数が過ぎた時は、給水管を交換しなければならないタイミングです。

給水管の耐用年数は素材別で以下の通りです。

  • 金属管 20年ほど
  • ステンレス銅管 30年ほど
  • 硬化ポリ塩化ビニル管 20~25年ほど
  • ポリエチレン管 30~40年ほど

これらを目安に、交換をしていきましょう。

目安2:水質に異変があったとき

耐用年数を過ぎていなくても、水質に異変があったときは交換の目安にしましょう。

主な異変は以下の通りになります。

  • 水の色が透明ではない
  • 水の匂いがおかしい
  • 水に不純物が混ざっている

これらは、特に金属製の水道管に起こりやすい異変です。

金属製の水道管では、長年使用し続けるうちに内部がさび付いてしまい、使っているうちにそのさびが水に混入するということが起きてしまいます。

樹脂製の給水管でもこの事態に陥ることがあり、少しでも違和感を感じた場合には交換に踏み切りましょう。

継続的に水質に異変がある場合には、できるだけ使用を控え、健康被害を出さないように気を付ける必要もあります。

目安3:水漏れがあったとき

最もわかりやすい交換の目安は「水漏れがあったとき」です。

給水管は使用頻度や環境の温度変化などにより劣化したり、破損したりすることがあります。

その症状として起きるのが水漏れです。

水漏れが起こったときには、室内であればカビの繁殖や害虫の発生、床への浸水、家電の損傷、家財の腐食などの二次被害が起こり得ます。

そうなると余計にお金がかかってしまったり、健康面でも被害が出てしまったりするので注意が必要です。

経年劣化による水漏れが起こったときには、他の箇所も同じように経年劣化が起こっている可能性が高い為、業者に依頼して点検・交換してもらいましょう。

水漏れ被害が起こった場合には、水漏れ箇所だけではなくその他の場所も見てもらい、水漏れを未然に防ぐという事も重要です。

給水管を交換しないとこんなデメリットがある!

「特に被害がなければ耐用年数を過ぎたけれどまだ使える!」と思って劣化した給水管を使い続けてしまう人もいます。

しかし、実際の被害が出てしまってからでは、影響範囲が大きくなり、修理・交換費用もかさんでしまいます。

給水管を交換せず放置しておくと起こるデメリットについてしっかりと知っておきましょう。

デメリット1:水漏れ被害

劣化した給水管を交換せず放置していると、いつ水漏れしてもおかしくありません。

水漏れは、ただ水がぽたぽたと漏れるだけだと思ってしまいがちですが、水漏れによって引き起こされる被害は甚大です。

特に、屋内で水漏れが起こった場合にはその周辺一体が水に濡れてしまうため、電化製品は壊れてしまいます。

また、木造などの場合、水が浸水したことにより木材が腐り、床などを取り替えなければなりません。

さらには、水漏れが発生したことにより室内の湿度が高くなり、カビが発生したり、害虫が湧いてしまう可能性もあります。

水漏れ自体が大したことなかったとしても、それを起因として起こる影響範囲を考えると無視できない問題と言えるでしょう。

デメリット2:健康被害

給水管を交換せずそのままにしておくと、健康被害につながる可能性があります。

例えば、古い給水管を交換しないでおくと、水道水に異変が起こります。

不純物が混じり、水道の水が茶色っぽく変色してしまうのです。

それは、給水管内部のさびが水道水に溶け出しているのが原因です。

さびが混じっているのにも気づかないまま料理に使ったり、飲み水に使ったりすることで健康被害が生じる場合があります。

また、古い給水管の場合には鉛が使われている場合もあり、鉛が溶け出した水道水を飲んでしまった場合、鉛中毒になってしまう可能性があります。

鉛中毒は、頭痛や腹痛、歩行障害などを引き起こす重大な疾患です。

水は日々の生活に欠かせないものなので、給水管の異常を放置してしまうと、身体によくない影響を及ぼす可能性もある、ということを覚えておきましょう。

デメリット3:水道管破裂

給水管の異常を放置することで、水漏れや水道水の異変などが起こりますが、給水管の劣化が進むと、水圧に耐えられなくなって破裂してしまう可能性もありますあ。

水道管が破裂すると、水漏れの比にならないくらいの水が噴き出し、場合によっては近隣への被害も出てしまいます。

結果として、賠償請求など大きな問題に発展してしまう可能性もあります。

水道管の交換費用だけで良かったのが、交換費用と賠償金や他の弁償代金などにかさんでしまう場合もあるので、注意しましょう。

給水管交換を行う時の費用相場

給水管の交換を行う場合、具体的にどこの部分を交換するのか、全体を交換するのか、何所交換するのかによってかなり金額が異なります。

おおよその交換箇所による金額の目安は以下の通りになります。

  • 水道管の一部分だけを交換:1万円前後
  • 水道管の全体を交換:10万円~100万円
  • 敷地内にある水道管を交換:35万円~50万円

賃貸住宅だった場合には、止水栓を止めて水漏れを防ぐなどの対処をしてから管理会社に相談しましょう。

給水管の交換は本来建物の持ち主である大家さんが費用を負担し、交換を行います。

相談せず勝手に交換を決めてしまうと自腹で支払わなければならなくなる可能性もあるので、必ず相談してから行いましょう。

また、公共の道路にある水道管の場合、自治体が費用を負担するのが原則となっています。

敷地内の水道管はその敷地の持ち主の管轄という扱いになります。

しかし、自治体によってはその線引きにも差があるので、水道管の位置によっては自治体へ相談が必要です。

給水管の交換費用は、箇所によっては負担しなくていい場合もありますし、大金がかかる可能性もあります。

業者や管理会社、自治体とよく相談し、交換対応を検討しましょう。

給水管の交換をする際の注意点

給水管の交換をする際にはいくつか注意点があります。

主に「DIYをしないこと」「管轄を調べること」「相見積もりをすること」の3つです。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

注意点1:DIYは絶対にしない!

給水管は主に特殊な工事などが必要になる箇所になります。

水回りなどは特に、素人が手を出して出来る範囲のものではありません。

地面や壁を掘って水道管を交換する作業は大変ですし、作業方法を間違えてしまって余計な箇所を破損してしまうこともあり得ます。

仮に成功したとしても、その後にトラブルが起こらないとは言い切れません。

また、場合によっては水道法に抵触し、違法行為とみなされる可能性や、知らないまま違法行為を行ってしまい、裁判に発展してしまうということもあり得ます。

業者に依頼するのを嫌がった結果、余計に費用がかさんでしまうということもありますので、注意が必要です。

注意点2:管理会社の管轄なのかを良く調べる!

給水管は、公道の下に埋められ、そこから各家庭まで引かれたものに分岐して水を供給しています。

そのため、公共部分に敷かれたものの管理は自治体の管轄です。

つまり、個人の敷地内は個人の所有、公共の場所に埋められた給水管は自治体の所有になるので、それぞれ管理者が異なります。

工事費や管轄は各自治体によって扱いが異なるので、必ず確認し、水道トラブルが起きた場合は一度自治体や公共団体に相談すると良いでしょう。

賃貸住宅の場合には、管理会社や大家さんが費用を負担してくれることがほとんどです。

勝手に業者に依頼するのではなく、一度相談してみましょう。

注意点3:業者に依頼する時は相見積もりを行う!

いざ業者に依頼するとなった場合には、必ず相見積もりを行うべきです。

同じ内容の工事であっても、料金の設定は業者によって異なり、業者によっては数万円の金額差が出てしまうことがあるからです。

水道工事は内容がわからないと金額の提示が出来ないため、HPなどで明確に金額が書かれているわけではありません。

そのため、実際に来てもらって点検をしてもらう必要があり、状況を見てもらったうえで金額を見積もってもらう必要があります。

相見積もりは、最低でも3社以上に依頼するのがおすすめです。

いくつかの会社に見てもらうことで何となくの相場が分かったり、そこから大きく金額がずれている場合には、良くない会社である可能性が高いなど、適正な比較検討を行うことができるためです。

また、業者に依頼する際には、アフターフォローやサービスなども決定の視野に入れましょう。

優良業者の場合には保証が付いたり、点検料が無料だったりします。

給水管を交換する時は必ず業者に依頼しよう

今回は、給水管の寿命や交換費用、交換目安などについてご紹介してきました。

水道は私たちの日々の生活に必要なものであり、トラブルが起こると日常生活に支障をきたしてしまいます。

給水管のトラブルは特に自分ではなかなか気づきにくく、目の届かない部分で起こる問題なので、水道水や水漏れなど、異変を感じた場合には速やかに交換を検討しましょう。

水道管の場所によって、責任者が変わりますので、賃貸の場合にはまず管理会社に相談をし、戸建ての場合には自治体にまずは相談し、指示を仰ぐのがおすすめです。

また、自腹で交換を行わなければならなくなったら、自分で交換しようとはせず、業者に依頼しましょう。

※業者に依頼する場合にも、相見積もりなどで費用相場を把握し、相場からかけ離れている業者には依頼しないなど注意が必要です。