最終更新日 2023年8月31日

調理に使用した油を処理する際、「何の気なしに排水口に流してしまった」という経験がある方も少なくないでしょう。

「少量の油だから大丈夫」「流す以外にどう処理すれば良いかわからない」といった考え方で油を流してしまうと、キッチン回りの設備を傷つけ故障の原因となるだけでなく、環境汚染にも大きな影響を及ぼすため、避けねばなりません。

油を排水口に流したことが原因の水道トラブルの発生件数は多いです。

油による水道トラブルは、水道業者に修理を依頼しなければいけないクラスの状況を生みます。。

そこで今回は、調理後の油を排水口に流してはいけない理由と、万が一油を流してしまった際の対処方法、そして正しい油の処理方法について解説していきます。

排水口に油を流してはいけない理由

油を排水口に流してはいけない理由として、多くの方が思い浮かべるのが「環境への影響」ではないでしょうか。

もちろん環境汚染も理由の1つです。

それ以上にもっと身近な「家庭への影響」もあることを知っておく必要があります。

以下からは家庭への影響、環境への影響についてそれぞれ詳しく解説します。

理由1:家庭への影響

調理に油を使用する際、ほとんどの場合熱して使用します。

油は冷えると固まる性質を持っているため、使い終わった油を排水口に流してしまうと、排水口から水道管内部に固形化してこびりついてしまうのです。

一度こびりついた油は水で流してもなかなか取れず、また食べ物のカスや洗剤を吸着し水道管内部を詰まらせます。

完全に水道管がふさがってしまえば水も流れなくなるため、キッチン自体が使用できなくなってしまう可能性もあるのです。

流れ切らない食べ物のカスが水道管内部に残り続け腐敗が進行すれば、嫌な臭いが発生することもあります。

キッチンの外側をキレイにしているのにもかかわらず腐敗臭がただよっていると感じる場合は、このように水道管内部に原因があると考えられるのです。

自力では掃除が難しい、奥まった場所からの悪臭であるため、専門業者に清掃を依頼しなければならないケースが多くなりがちです。

理由2:環境への影響

家庭から出た排水は、下水処理場で浄化されてから河川へと放流されます。

調理油の多くは微生物が分解しにくい性質を持つ動植物性油であり、完全に浄化されないまま河川や海へと流れ、水質汚染に繋がってしまいます。

環境庁が発表している「生活排水読本」によれば、天ぷら油20mlを浄化するのにバスタブ20杯(約600L)が必要であり、マヨネーズ大さじ1杯(15ml)を浄化するのにもバスタブ13杯分の水が必要になるとされています。

油を含む食材も同様に環境に与える影響が大きいです。

そのため日頃から適切な処理を心がけることで、地球環境の保全につながります。

油を排水口に流してしまった際の対処法

シンクに油を流してしまった際は、焦らず適切に対処しましょう。

もしも水道で油を流してしまった時は、排水口や水道管内部に悪影響を生む前に、以下の方法を時間を空けずに実践してみてください。

  • お湯で流す
  • 液体パイプクリーナーを使う

それぞれ詳しく解説します。

対処法1:お湯で流す

油は冷えると固まる性質を持っているため、水で流し切ろうとすると急速に油を冷やしてしまい、固まって管を塞ぐなど逆効果となる可能性があります。

また高温に熱した油を急に冷やすことで、水道管内部を著しく傷つけ、水漏れの原因となる可能性もあるのです。

お湯を使って排水溝内の油を流す際には、少しずつお湯を使うのではなく一気に流す方が効果的とされます。

方法としては以下のやり方です。

シンクの排水口をタオルなどを使ってふさいでから、50℃から60℃のお湯をシンク内いっぱいに溜めましょう。

そしてフタを取り、一気に流すしてください。

このような方法で油を流しきれる可能性が高まります。

何度か繰り返し行うことで、油を水道管内部に残さない可能性が高まります。

対処法2:液体パイプクリーナーを使う

薬局などで販売されている油専用の液体パイプクリーナーを使い、油残りを防ぐことも有効です。

油は酸性の性質を持つため、アルカリ性の洗剤で中和し分解するという方法です。

購入の際は、水酸化ナトリウム濃度が1%以上あるパイプクリーナーを選ぶようにしましょう。

強アルカリ性の製品でないと、油汚れに対して効果が薄くなる可能性があるので注意してください。

ただし水酸化ナトリウム濃度が5%以上の製品は、取り扱いに注意が必要な劇薬指定となっている場合もあります。

そのため水酸化ナトリウム関係の薬剤を使用する際は手袋を付け、換気をしつつ体調に気を付けて作業を行なってください。

正しい使用済み油の処理方法

油は可燃ごみとして出すことが可能です。

しかし液状のまま捨ててはいけません。

そのため油を捨てるときは油を固めたり、新聞紙などに吸わせて処理するのが一般的です。

また自治体によっては、油を資源ごみとみなしてリサイクル回収を行っているところもあります。

そういった自治体では使用済みの油を再資源化し、燃料として再利用する取り組みが行なわれているため、自分の地域・自治体が該当するか調べてみましょう。

処理方法1:キッチンペーパー・新聞紙に吸わせる

キッチンペーパーや新聞紙に油を吸わせ、可燃ごみとして捨てるのが油処理でもっとも簡単な方法の1つです。

その際は必ず、油の温度が下がったことを確認してから行ってください。

高温の状態で紙に吸わせてしまうと、自然発火の原因となる場合があります。

突然の火災が起きないように、油を少し放置してから行うようにしましょう。

処理方法2:牛乳パックに注ぐ

飲み終わった牛乳パックに新聞紙やキッチンペーパーを丸め入れ、その上から油を注ぎ入れる方法でも簡単に処理することができます。

牛乳パックの中に油を入れることで、直接キッチンペーパーで吸わせる方法よりも手を汚さずに処理できる可能性が高まります。

ただしこの方法も自然発火に対する注意は必要です。

あらかじめ中に詰める紙類を水でぬらしておけば、安全に処理しやすくなります。

処理方法3:市販の凝固剤で固める

油処理方法として、薬局などで市販されている油用の凝固剤を使用して、油を固める方法もとても簡単です。

熱い油に凝固剤を混ぜ、固まったら可燃ごみとして捨てるだけで完了します。

キッチンペーパーや新聞紙、牛乳パックを使った処理方法とは異なり、専用に購入する必要があるため他の方法よりもコストはかかります。

しかしながら、「とにかく手間をかけたくない」という方にはお勧めできます。

処理方法4:油を再利用する

一度使った油を毎回処理するのではなく、保存容器等で保存しておけば最大4回程度は再利用できます。

色や粘度、臭いなどを見て使用して良い状態か見極める必要はあるものの、再利用によって油の処理回数自体が抑えられることはメリットです。

油は酸化してしまうと再利用できなくなってしまうので、空気に触れない容器に移し替えてから保管するようにしましょう。

油を排水口に流すと詰まりの原因に!正しい方法で処理しよう

今回は、油を排水口に流してはいけない理由について、そして流してしまった際の対処法と正しい油の処理方法について解説しました。

正しく油を処理しないと、生活や環境に重い悪影響を及ぼします。

したがって、油の安易な処理方法は絶対に避けるべきだと覚えておきましょう。