トイレの排水トラップの構造はどうなってる?臭いなどのトラブルにつながる原因と対処法
最終更新日 2022年4月25日
トイレから下水の悪臭が漂ってきたり、害虫が浸入したりしてきた場合、排水トラップと呼ばれるものの異常や不具合に原因があることがあります。
排水トラップは、快適な生活をするにあたり、とても重要な役割を持っているものです。
この記事では、排水トラップの構造や役割、そのトラブルにつながる原因と対処法について解説していきます。
トイレの排水トラップとは?
「排水トラップ」とは、水道管の途中に水を溜めておくことで、外部からの侵入経路を遮断する仕組みのことです。
この項では、排水トラップの役割や構造について解説していきます。
排水トラップの構造と役割
排水管は、下水管とつながっています。
このため、排水管に何も工夫していないと、下水の嫌な臭いや害虫が、排水管を通って家の中に入って来てしまいます。
このような事態を防ぐために、水道管を途中でグネグネと曲がらせて、この曲がっている部分に水を溜めることで、下水道からガスや臭い、衛生害虫などが上がってくるのを防いでいるのです。
この仕組みを「水封(すいふう)」といい、このための水を「封水(ふうすい)」といいます。
排水トラップの原理
排水管が曲がっている「S字トラップ」「P字トラップ」「U字トラップ」(1-3参照)は、「サイホン作用」によって、水を流しています。
下図を見てみましょう。
排水口から吸い込まれた水が、右側の管を通ってトラップにたどり着きます。
左側の管は空洞になっていますが、「サイホンの原理」によって、バランスを取ろうとする力が働き、その圧力によって、左側の管まで水が流れていくのです。
排水口から流れてくる水がストップした後も、封水がもとの水量になるまでは、圧力が働き続けます。
排水管の中が水で満たされることで、圧力によって勝手に水が水道管の奥に流されていき、再び元の水量だけがトラップに溜まります。
結果的に新しい水がトラップに溜まるため、これを「自浄作用」ともいうのです。
排水トラップの種類と構造
排水トラップの種類には、大きく「サイホン型」と「非サイホン型」とに分かれ、それぞれ以下のような種類分けができます。
サイホン型 | 非サイホン型 |
S字トラップ P字トラップ U字トラップ | わん型トラップ ドラム型トラップ |
S字トラップ
S字トラップは、排水管の先が床に抜けています。
カーブになった部分に封水が溜まることで、サイホン作用を起こしています。
トイレによく見られる排水トラップです。
P字トラップ
P字トラップは、近年広く普及している種類の排水管です。
管が壁側に向かって垂直に抜けていくという部分がS字トラップと違います。
P字トラップは過度なサイホン現象が起こりづらく、安定しているため、機能を維持しやすいという特徴があるのです。
U字トラップ
U字トラップは、P字トラップと同じく壁に垂直に抜けていきますが、排水口から伸びる管の向きが違います。
水が横向きに流れていくのが特徴です。
これは主に、屋外の水道管と接続する末端部分などに使用されます。
トラップ部分の底にゴミなどが沈殿しやすいのがデメリットです。
わん型トラップ
わん型トラップは、その名の通りお碗のような形状のカップをかぶせるトラップです。
水が流れてくると、封水と合流して水位が上がります。
そしてカップの内側を通った水が、排水管へ押し出されて流れていくという仕組みです。 ただ、カップ内にゴミが溜まりやすく、封水自体も汚れやすい構造になっています。
ドラム型トラップ
ドラム型トラップは、排水管の2.5倍以上あるドラム型タンクで水封をしているものです。
破封が起こりにくい反面、沈殿物が溜まりやすいというデメリットもあります。
排水トラップの臭いが発生する原因とメカニズム
本来、排水トラップは下水の悪臭を防ぐための構造です。
そのため、排水口から悪臭が発生しているということは、排水トラップ内で「破封」と呼ばれるトラブルが起こっていることが考えられます。
悪臭の原因は破封(はふう)と呼ばれる現象
排水管の中にある封水が、何らかのトラブルにより少なくなったり、なくなったりして、役割を果たせなくなると、排水口から悪臭がしたり、害虫が侵入したりすることがあるのです。
この、封水が役割を果たせなくなることを「破封」といいます。
破封の原因になる現象と対処法
破封が起こってしまう原因には、以下の6つが挙げられます。
- 自己サイホン作用
- 誘導サイホン作用
- 毛管(毛細管)現象
- 蒸発
- 床排水トラップの不具合
- 通気管の不具合
以下で一つひとつ詳しく説明していきます。
原因1:自己サイホン作用
自己サイホン作用とは、便器内の水が一気に排水管内に流出してしまった場合などに起きるものです。
この急激な排水により、排水管内で気圧変化が起き、封水が排水管の中へと引っ張られて水位が下がり、破封が起こってしまいます。
対処法としては、応急処置として、便器内に水を補給するのが良いでしょう。
一時的に封水が保たれて、臭いを抑えることができます。
ただし、便器に水を流す度に、同じように封水の水位が低くなる現象が何度も起きる場合は、専門業者に相談した方が良いと言えるでしょう。
原因2:誘導サイホン作用
一般的な住宅やマンションなどの集合住宅で、上階の排水管において排水が勢いよく流されると、水が一気に排水管内に入ることで、その水の体積分の空気が排水管に押し込まれて空気圧が変化します。
この気圧の変化で、排水管内の圧力が低くなると、トイレの封水が排水管内に引き寄せられ、水量が少なくなって破封が起こることがあるのです。
これを誘導サイホン作用といいます。
この誘導サイホン作用への対処は、気圧の変化に対処する処置が必要になります。
具体的には、通気管を設置する、排水管を太くするなどの対応が考えられますが、個人では対処できませんので、専門業者に相談するのが良いでしょう。
原因3:毛管(毛細管)現象
排水管に、トイレットペーパーや髪の毛、糸くずなどといったものが流れずに引っかかって詰まりを起こすと、水の表面張力によって、封水がそれらを伝って徐々に吸い上げられていくという、毛管(毛細管)現象が起きてしまいます。
トイレの水が流れづらい状態で放置していると、封水が少しずつ流れ出して量が減少し、破封が起こることがあるのです。
この毛管現象に対処するには、毛管現象の原因である詰まりを取り除くことが有効です。
一番よく知られているのは、ラバーカップでしょう。
ラバーカップは、押して引き上げる動作で、圧力を利用して詰まりを引き上げます。
詰まりは引き上げられると、水に触れて溶けるようになり、再度水を流すことで、詰まりを解消することができます。
ラバーカップ以外では、以下のやり方があります。
- お湯(45℃くらいで便器の半分くらいの量)をゆっくり注いで1時間程度放置して流す
- 重曹とお酢(クエン酸)とお湯で流す(5-2参照)
- 食器用洗剤を100㏄便器に入れ、ぬるま湯をゆっくり注ぎ、20分放置して流す
原因4:蒸発
長い間、水が流されないままの状態が続くと、排水トラップの中が乾燥していきます。
排水管の中にある封水も普通の水ですから、排水トラップ内の乾燥状態が長く続けば、蒸発して水が少なくなってしまうのです。
蒸発がずっと継続されれば、やがて破封が起こってしまいます。
トイレの便器の水であれば、1ヶ月程度なら放置しても問題ありませんが、二ヶ月以上放置していると、蒸発して水量不足を招いてしまう可能性があります。
この場合の対処法は簡単で、便器内に水を流せばOKです。
封水の水位が戻れば、悪臭は収まります。
原因5:床排水トラップの不具合
床下に設置された排水トラップ装置の故障・不具合も原因になる場合があります。
わん型トラップは消耗品で、劣化が進めば錆びついて用をなさなくなることもあるのです。
腐食がひどい状態の時は、交換するしかなくなってしまいます。
これは、個人では対処できませんので、専門業者に相談するしかありません。
原因6:通気管の不具合
2階以上の建物の場合、トイレの排水管には、配管内の空気圧を調整するために通気管が付いています。
そのため、気密性の高いマンションなどで換気扇から大量に排気したりすると、通気管内の気圧が下がり、トイレの封水が排気管内に引っ張られて破封を起こしてしまうことがあるのです。
こうした配管周りの事情は、個人での対処は難しいので、専門業者に相談しましょう。
トイレの排水トラップのトラブルの確認方法
排水トラップのトラブルは、悪臭として認識されることがほとんどでしょう。
しかし、そうでなくても確認する方法があります。
トイレのトラップの水量は、正常な時にはいつも一定になるよう設計されています。
そのため、水面が低かったり、水が少なかったりした場合は、排水トラップのトラブルを疑いましょう。
排水トラップのトラブルが起きた時の応急処置
トイレの臭いが気になったり、水位が低いことに気づいたりしたら、トラップに不具合がないか調べましょう。
トイレのトラップの不具合を発見した時に、自分でできる応急処置があります。
応急処置1:水を入れる
すぐにできる応急処置として、便器に直接水を注いでトラップを満たす方法があります。
上記のような原因で破封が起こり、封水の水量が少なくなっていた場合や、大量に流したトイレットペーパーなどが原因で、排水管が一時的に詰まっていた程度なら、この方法で解決できるでしょう。
応急処置2:パイプクリーナー(薬剤)でつまりを解消する
髪の毛や汚れなどで排水管が詰まっている場合は、パイプクリーナーを使い、髪の毛や油分などを薬剤の力で溶解して、詰まりを解消します。
パイプクリーナーを使う際は、初めに必ずパッケージなどにある取扱方法を読みましょう。
手袋やマスク、換気にも気を遣った方が良いでしょう。
応急処置3:ラバーカップ・真空クリーナーでつまりを除去する
排水管の詰まりであれば、ラバーカップや真空式クリーナーで取り除くのも有効です。
ホームセンターなどで安く買うことができ、使い方も簡単です。
使用する前には、トイレの水が飛び散ってもいいように、新聞紙を周りに敷いておきましょう。
排水トラップの掃除方法
排水トラップは、トイレの悪臭や害虫を防ぐために、とても重要な役割を果たしています。
したがって、できるだけトラブルがないようにしなければなりません。
そのためには、定期的な掃除が欠かせないのです。
掃除の際には、ゴム手袋とマスクを忘れないようにしましょう。
掃除方法1:排水管に熱湯を一気に流す
排水トラップに溜まる汚れは、油分などが多く、熱湯によってある程度溶けて流れてくれることが期待できます。
だいたい月に一度のペースでお湯を一気に流すようにすると良いでしょう。
掃除方法2:重曹とお酢で排水管を掃除する
「カップ4分の1の重曹」と「カップ2分の1のお酢」で、排水管を掃除するのも効果があります。
排水管に重曹を撒いてからお酢を入れて、30分~1時間ほど放置します。
こうすることで、汚れに浸透していくので、後は40℃~50℃のお湯を流し込みましょう。
詰まりの原因を解消しつつ、ヌメリや臭いも解消できるので、一石二鳥です。
掃除方法3:パイプクリーナーなどの薬剤で掃除する
パイプクリーナーなどの薬剤を使って掃除するのもおすすめです。
この時、単にパイプクリーナーを使うよりも、40℃~50℃のお湯で薬剤をボトルごと温めてから薬剤を使うと、洗浄効果がアップします。
また、薬剤を注ぎ流す時は40℃~50℃のお湯を使うと、さらに効率よく汚れが落ちます。
ただし、既にトイレが詰まっている時には、パイプクリーナーは効果がありません。
あくまで定期的な掃除に使うようにしましょう。
排水トラップのトラブルは、専門業者に相談が正解!
以上、排水トラップの構造から、トラブルの原因と対処法などをお伝えしてきました。
トイレの排水トラップのトラブルは、単なる詰まりや蒸発による封水切れであれば、自分で対処できることもありますが、それで対処できなかった場合には、専門業者に相談するのが良いでしょう。
専門業者であれば、配管周りが原因のトラブルでも、難なく対処できます。
トイレが使えないというのは、生活する上では致命傷ですから、なるべく早く相談した方が得策と言えるでしょう。
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