トイレの逆流はなぜ起こる?原因や対策方法
最終更新日 2022年11月30日
トイレの水が逆流してきたり、ゴボゴボとした異音が、トイレの奥から聞こえてくる、といった異変が、自宅のトイレで突然起きた経験はありますか。
あるいは今現在、そうしたトラブルにお困りではないでしょうか。
日頃からトイレ掃除をしていると思っていても、トイレの逆流が起こってしまう可能性はあります。
また、あまり家にいる時間が多くない方であれば、一層トラブルが発生しやすいと言えるかもしれません。
今回は、どうしてトイレの逆流が起こるのかについて、原因と対処法について解説していきます。
また、自力でトイレの逆流を解消できるのかどうかについてもご紹介していきますので、トラブルのレベルに合わせ自分で対処していいのか、それとも業者に依頼すべきかの判断基準にしてみてください。
トイレの逆流の主な原因
まずはじめに、トイレの逆流が起こる主な原因をご紹介します。
トラブルの原因として最も多いのは、以下のようなものです。
- トイレの便器内でものが詰まっている
- 排水管や排水口が詰まっている
- 汚水ポンプや排水桝にトラブルが発生している
- 災害などの外的トラブルによる逆流
【1】便器内の詰まりが原因の場合
便器内にある排水路はS字であるため、比較的ものが引っ掛かりやすい形状をしています。
そのためトイレットペーパーなどのトイレで普通に使っているものであっても、一度に大量に流してしまうと溶け切らず、便器内で詰まってしまう場合があるのです。
原因としては、大まかに3パターンあります。
まず1つめは、トイレットペーパーの使い過ぎです。
トイレットペーパーは水溶性の性質を持っているので、基本的には便器内に留まることなく水に溶け流れていきます。
ただ、最近のトイレが特に顕著なのですが、節水モデルであることを売りにしているトイレもあるため、新しい家なのにトイレの逆流が起こったというケースも少なくありません。
従来よりも大量のトイレットペーパーを流しにくくなっていることも、トイレの逆流の理由の一つと言えるでしょう。
2つめは、ティッシュペーパーやおしりふき、トイレシートなどを流してしまった場合です。
「水に流せる」と記載されている製品であれば良いですが、全ての製品が水溶性の性質を持っているわけではありません。
いつもの癖で、気づかずに、といった理由で便器内にこれらを流してしまうと、トイレの逆流が起こる可能性は高まります。
基本的にはトイレに流さず、ごみとして捨てたほうが安全でしょう。
3つめは、誤ってものを便器内に落としてしまった場合です。
経験のある方も少なくないかもしれませんが、スマートフォンやピアス、ブレスレットなどのアクセサリー、その他小物などをトイレ使用中に落としてしまい、取るのが難しくなってしまうことがあります。
なるべくトイレには持ち込まないよう、気を付けた方がいいでしょう。
これらの原因によって便器内の水流が阻害されることで、トイレの逆流が起こってしまうのです。
【2】排水管や排水口の詰まりが原因の場合
下水管とトイレの排水路を繋げている排水管・排水口が詰まってしまうと汚水逆流の原因となります。
その原因として挙げられるのが、トイレの不適切な使用です。
・タンク内にペットボトルを入れかさましし、不必要な節水を行っている
・排便時、またトイレットペーパーを大量に使用した時でも、少量の水で流している
こうした理由が特に多いと言えます。
トイレのメーカーが指示している排水に必要な流水量によって、「小」「大」といったボタンが設けられています。
適切な使用法を守らないと、結果的にトラブルを誘発してしまうことがあるので注意が必要です。
【3】汚水ポンプや排水桝にトラブルが発生している場合
汚水ポンプとは、家庭の生活汚水を集め、ポンプの力を使い排水管へと組み上げていく設備です。
ここが故障すると、排水に不具合が生じ逆流が起こってしまうのです。
また、排水桝とは、生活汚水を「水」と「ゴミ」に分けてくれる設備です。
排水管が詰まりやすい箇所に設置し、トラブル発生時の点検・修理を簡便にするためのものでもあります。
これらが故障してしまうと排水が上手くいかず、トイレをはじめとした様々な箇所で逆流がおきやすくなります。
自分では確認することが非常に難しい原因箇所なので、ここが原因であった場合には業者へ依頼するのがおすすめです。
【4】災害発生に伴う逆流の場合
台風や豪雨、地震などの災害が発生したことでトラブルが起こることもあります。
大雨によって大量の雨水が一度に下水管を溢れさせると、生活汚水の排水が上手くいかず逆流が起こります。
地震の場合には地下の下水管に亀裂が入ったり、破損してしまったことで排水に影響が出ることがあるのです。
これらは外的要因であるため自分での対策は中々できませんが、災害マップや天気予報などをチェックし、災害時のトイレ使用は気を付けるよう心がけると良いでしょう。
突然のトイレの逆流!4つの対策方法
主だった原因の中でも特に多いのは、やはり便器内の詰まりです。
その場合は自分で対処できる場合も多いので、試してみてほしい4つの対策方法をご紹介していきます。
対策1:お湯を便器に流してみる
トイレットペーパーや排泄物など、トイレに流せるものはお湯でより溶けやすくなります。
そのためバケツにお湯を入れ、直接トイレに流し込んでみるのは有効な方法の一つと言えます。
ただ注意点として、熱湯は絶対に使用しないでください。
お湯の温度の目安は「40〜60℃」です。
便器は陶器製である事が多く、急激な温度変化によってひび割れや、破損が発生してしまう場合があります。
お湯の温度をむやみに高くするのではなく、少し温かめの温度にすることを絶対に守るようにしてください。
対策2:ラバーカップを使用する
便器内の詰まりに有効な製品が「ラバーカップ(スッポン)」です。
薬局やホームセンターなど、様々な場所で販売されており、便器詰まりの解消に特化した製品となっています。
便器の穴にゴム製のカップを密着させ押し引きをすることで、圧力の変化を利用し詰まりを取り除いてくれます。
ただこちらは詰まりの原因がスマートフォンなどの異物である場合、押し込んでしまう可能性もあるので注意してください。
対策3:重曹とお酢を使用する
こちらも水に溶けないものが詰まりの原因である際には使うことが出来ず、トイレットペーパーなどが原因の場合の対処法です。
便器内にたまった水をバケツで汲み取り水量を減らしてから、重曹50g(1/4カップ)・お酢100mlを便器に入れます。
さらに50℃前後のお湯を便器の半分ほどまで注ぐと、反応が起こりブクブクと泡が立ち始めるでしょう。
その状態が確認できたら1時間程度放置し、その後バケツから水を注いでいきます。
水溶性の原因であれば、効果的に詰まりを解消しやすい方法なので試してみると良いでしょう。
対策4:ワイヤーブラシを使用する
トイレ詰まりの原因を細かく削って崩してくれるワイヤーブラシも、便器内の詰まりが原因であれば効果的です。
身近にワイヤーブラシがない場合には、ハンガーワイヤーなどを加工して代用することもできます。
ただ、その際には、便器内を傷つけないようとがった部分を丸めてください。
固くて水に流れないオモチャやインテリアの場合には効果がありませんので注意しましょう。
水道業者に依頼する判断基準
ここまで解説した通り、自分でできる対策として挙げた4つの対処法は、そのどれもが主に水溶性であるトイレットペーパーなどが詰まりの原因である時に有効です。
それ以外の原因がある場合には、自分では手が届かない範囲を修理する必要があるかもしれません。
誤った方法を実践してしまえば、トラブルが悪化し被害が大きくなる可能性もあります。
「このくらいなら大丈夫」と楽観視せず、不安に感じた時には業者に依頼するようにしましょう。
ではどう言った場合に業者に依頼するべきか、その判断基準の目安を解説していきます。
判断基準1:見えないところに異物が入り込んでしまった時
アクセサリーやスマートフォン、生活用品が便器の奥まで落ちてしまった時は、ラバーカップやワイヤーブラシを使用しても奥に押し込むだけになる可能性が高いです。
また、お湯や重曹などを使用しても効果が薄いので、無理はやめましょう。
業者の技術で吸いだしてもらえばすぐに解消されることも多いので、依頼する方が安全で早いかもしれません。
判断基準2:自分で対処したが解消されなかった時
トイレットペーパーなど、自力での対策方法が効果的なものが原因であった場合も、中々解消しない場合は業者に依頼した方がいいです。
自己判断以外の理由がいくつか重なりトイレの逆流を引き起こしている場合もあるので、早合点せず対処が難航した時は業者を頼ってみましょう。
判断基準3:災害が逆流の原因だった時
災害によって起こったトイレの逆流は、むやみに自分で手を加えてしまうと状況が悪化しやすいです。
排水管や下水管の破損が原因だった場合は、自力での対処は不可能と考えて良いでしょう。
便器内から水があふれ浸水などが起こる可能性も考えられますので、速やかに業者へ依頼し、修理を待ちましょう。
災害時の逆流は、国家資格や水道局の許可がなければ行えない作業が含まれるので、水道局公認の水道工事店に依頼することでよりスムーズな解消が見込めます。
応急処置として便器に水嚢(すいのう)を置き逆流を防ぐ方法もありますが、災害時の下水に触れることでケガ・感染症のリスクも生まれますので注意し、無理だと感じたら触らずにおきましょう。
トイレの逆流を未然に防止する方法はある?
トイレの逆流を放置してしまうと、トイレが使用できないだけでなく、トイレ内の床面壁面を始めとし家の中が浸水する危険もあります。
そうなってしまうと修繕費も多くなりますし、近隣トラブルに発展するおそれもあります。
そういった状況を未然に防ぐ方法について、ポイントを解説していきますので参考にしてください。
予防ポイント1:トイレの水は充分に流す
トイレ使用後に流れたと確認していても、便器の奥に残り続けてしまうことがあります。
大半のトイレが「大」で約8リットル、「小」で約6リットルの水が流れます。
それだけの違いがあるため。特に排便時の排水が少量だと流れ切らない可能性が高まってしまうのです。
トイレメーカーが推奨している適切な使い方を心がけることは、何よりもトラブル防止に繋がります。
「節水したいから」という理由や「大丈夫だろう」という気の緩みをなくし、日々気を付けて癖づけていけると良いでしょう。
予防ポイント2:水溶性の製品を流しすぎない
トイレットペーパー、ティッシュペーパー、おしりふきなど、多くの「水に流せる」製品が発売されています。
メーカーとしても多くの試行錯誤を繰り返して開発しているので安心して使用して問題ないとは思いますが、それはあくまでも適切な使用をした場合に限られます。
水に流せる素材であるからと一度に大量に流してしまえば、水に溶ける限度を超え排水路に残ることも考えられるでしょう。
便器内の排水路は約7.5cmで、そこまで広くはありません。詰まりやすいS字形状であることも踏まえると、想像以上に気にかける必要があるのです。
予防ポイント3:食べ物の残りなどを流さない
自宅であればキッチンで捨てればよいですが、外出先などでラーメンやそばなどの汁物を食べたあとに、捨てる場所がなくてトイレに流すなどのことは控えましょう。
水分だけであれば流れていくとは思われますが、固形物の残り具合によっては簡単にトイレを詰まらせてしまうからです。
ゴミなども小さいから、少しだからとトイレに流すことは絶対にやめて、出先などでどうしてもごみ箱がない状況だったとしても持ち帰るようにしましょう。
予防ポイント4:排水桝を定期的にチェックしておく
こちらは戸建て住居の場合に限られるかもしれませんが、定期的に排水桝のフタを開け、状態のチェックをしておくことも有効です。
詰まりの発生を発見できるほか、桝自体の破損や木の根などの侵食など、様々なトラブルを直接察知しやすい箇所と言えるでしょう。
またトイレ以外でも、キッチンから出た油などが固まり詰まりを生み出している可能性があります。
修理を行い直接原因を解消するのであれば業者の手を入れる必要がありますが、その判断基準ともなるので覚えておくと良いでしょう。
トイレの逆流が起こった時は、無理せず業者依頼も視野に入れよう!
ここまで、トイレの逆流の原因と対策方法について解説してきました。
目に見えない部分で起こっていることも多く、原因も過失である場合と外的要因である場合があり、判断自体に知識がいるということが分かったのではないでしょうか。
自分で対処する際は無理をせず、心配に感じる時は早めに業者へ依頼することが大切です。
費用などは状況によって異なりますが、水道局公認の工事店であれば、適切な処置をしてもらえるでしょう。
その他、無料見積もりがあり、電話対応の段階で修理の詳細を聞ける水道業者を選ぶと安心です。
また、トイレの逆流が起きている状態で使用してしまうと、被害が深刻化する可能性が高まります。
なるべく触らないようにして、二次被害が起きないよう注意してください。
ウォシュレットの電源を止めておくなどして、冷静な対処を心がけましょう。