最終更新日 2024年10月21日

「トイレのレバーを触っていないのに、便器内に水が流れている」「トイレタンクから水があふれて水びだしになる」というトラブルは、長くトイレを使っていると起こりがちです。

配管などに問題がないときの水漏れは、トイレのタンク内にある「オーバーフロー管」が故障している可能性があります。

オーバーフロー管は樹脂製で、強度が高くないため、壊れやすい部品だとされています。

ちょっとした衝撃などで壊れてしまったり、折れてしまうのです。

そこで本記事では、オーバーフロー管が壊れて、折れてしまった時の対処方法と交換方法について解説します。

「自分でオーバーフロー管を交換しよう」と考えている場合、参考にしてみてください。

オーバーフロー管とは?

オーバーフロー管とは、トイレタンクに給水された水があふれ出てしまうのを防ぐ働きをする細長い筒状の管のことです。

別名では、「溢水管(いっすいかん)」「あふれ管」と言います。

オーバーフロー管とはトイレタンクの底に設置されており、その先端に「-WL-」というマークが入っています。

このマークはタンク内部の標準水位を示しています。

マークを目安に、「水位に問題がないかの確認」をしましょう。

水位の目安は、標準水位とされている「管の先端から2~3cm下の位置」です。

オーバーフロー管の役割

オーバーフロー管の役割は、「タンク内の水位が上昇して外に出る恐れがある際、漏れを防ぐ」というもためす。

水位が上昇してしまう原因は、タンク内の「浮き球」という部品が破損して給水が止まらなくなったり、配管に問題があって水が給水され続けたりするパターンなどです。

この水位がオーバーフロー管の先端よりも高くなってしまった場合、余分な水が「から」になっているオーバーフロー管の中を通り、便器に流れていきます。

オーバーフロー管が折れてしまう原因

タンク内にある部品であるオーバーフロー管が折れてしまう原因として、以下の3つが挙げられます。

原因1:材質の劣化

材質の劣化は、オーバーフロー管が折れてしまう原因となります。

オーバーフロー管は、樹脂製のプラスチックでできています。

先端以外は「水に常に浸かっている状態」であることもあり、劣化しやすい条件が揃っているのです。

ある程度の年数が経ってしまえば当然劣化するため、オーバーフロー管が折れてしまった場合は経年劣化が疑われます。

オーバーフロー管自体の耐用年数はないものの、5~10年に1度交換を検討すべきです。

原因2:掃除時の衝撃

トイレタンク内を掃除した際、オーバーフロー管に掃除器具などをぶつけてしまい破損させてしまうこともあります。

オーバーフロー管はプラスチックでできているため非常に壊れやすく、強めにぶつかればすぐ破損してしまいます。

タンク内の掃除を行う場合は、オーバーフロー管に手が当たらないよう注意しましょう。

原因3:節水用に入れたペットボトルなど

トイレタンクの中にペットボトルを鎮めると、そのペットボトルの体積分が節水できるという豆知識があります。

しかし、この「節水目的で入れたペットボトル」がオーバーフロー管にぶつかることでオーバーフロー管が壊れてしまうこともあり得ます。

トイレのタンク内の水は、「排泄物やトイレットペーパーを流しきれるように水量が調整されている」ため、ペットボトルなどで節水しようとするとトイレの詰まりを引き起こしてしまいます。

そのため、ペットボトルをトイレのタンク内に入れて節水を行うことはおすすめしません。

オーバーフロー管がきちんと作動していないと起こること

オーバーフロー管が破損などで動作しなくなると、タンク内の増えすぎた水を流せなくなり、トイレのレバーを回していなくても水が流れ続けるという事象が起こります。

また、オーバーフロー管が折れて短くなってしまっている場合にも、短くなったオーバーフロー管の水が流れて便器内へと流れ出てしまいます。

便器に水が流れ続けてしまうと、トイレに水が溢れて水浸しになります。

オーバーフロー管は自分で交換できる?自分で交換した時のメリットデメリット

壊れてしまったオーバーフロー管は、自分で交換することが可能です。

自分で交換するメリットは、修理費用が大幅に抑えられることです。

必要な道具さえそろっていれば、すべきことは「オーバーフロー管の型番を見て同じものを購入し、取り付ける作業」のみとなります。

しかし、自分でDIY等をしたことはない方にとって作業は少し難しいものになる可能性があります。

トイレのタンク内をいじる作業になります。

タンク内の部品を触るのが怖い、自分でできる自身がないという方はおすすめできません。

さらにオーバーフロー管の交換中に別の部分にぶつかりそちらが壊れてしまったり、陶器製のトイレの蓋を落として壊してしまったりと、別のリスクもあるのです。

また、作業になれていない場合は時間的コストがかかります。

「費用を抑えるために自分でオーバーフロー管を交換したものの、上手くいかずに別の部分を壊し、結局修理代が高くついてしまった」という事例は少なくありません。

したがって、自分で交換することは可能ではあるものの、できるだけ慎重に行いましょう。

オーバーフロー管の交換手順

自分でオーバーフロー管を交換する手順を紹介します。

自分自身で交換を考えている場合、是非参考にしてみてください。

以下は作業のために準備する道具です。

  • 型番、品番が同じオーバーフロー管
  • ぞうきん
  • モンキーレンチ
  • ウォーターポンププライヤー
  • マイナスドライバー

いずれもホームセンターで購入可能です。

もし持っていないものがあれば、事前に購入してください。

オーバーフロー管の型番や品番が心配な場合は、事前に取り外したり写真を撮ったりして同じものを探してください。

STEP1:止水栓を閉めてタンクの水を抜く

まず行うことは、止水栓を止めることです。

作業中の「思いがけない水漏れ」を防ぐために止水栓を止めましょう。

止水栓の位置は壁の配管であることが多いです。

止水栓を止めるには、マイナスドライバーで当該部分を締める必要があります。

しかし、蛇口のような形をしている止水栓とは、手で簡単に止められます。

またタンクの水は、通常の水を流すときと同じようにレバーを引くことで抜けます。

STEP2:タンクを取り外す

続いて、トイレのタンク取り外しです。

給水管に繋がっている部分および、タンクの下についているナットをそれぞれモンキーレンチで取り外していきます。

ナットが外れたら、タンクを持ち上げて取り外します。

タンクは陶器でできていて非常に割れやすいため取り扱いに注意してください。

STEP3:オーバーフロー管を取り換える

タンクの底についているオーバーフロー管の根元を、ウォーターポンプを使って取り外していきます。

ウォーターポンプで根元部分を回すと、オーバーフロー管を取り外すことができます。

新しいオーバーフロー管を差し込み、根元部分を回して締めれば取り付け完了です。

STEP4:タンクを戻す

取り外したタンクを戻してください。

タンクを元の位置に戻し、給水管が繋がっている部分、およびタンクの下部分についているナットを締めていきます。

ナットを締める力が強すぎると、タンクが割れる可能性があるためゆっくり回しましょう。

ナットを戻した後、「レバーとフロートバルブを繋いでいる鎖の長さ」を、「レバーと連動してフロートバルブがきちんと動く状態」に調整しましょう。

この作業を行わないと、排水口がうまく閉まらなくなってしまいます。

STEP5:止水栓を開けて動作チェック

最後に、止水栓を開けて動作をチェックしていきます。

水を流してみて、水の勢いが強すぎたり、水が足りなかったりした場合は止水栓の開け具合を調整して下さい。

レバーを動かしてみて、水位が正しい状態である「標準水位とされている管の先端から2~3cm下の位置」になっていれば作業完了です。

交換を業者に依頼した時の費用相場

自分でオーバーフロー管についての繊細な作業するのが不安な方や、プロにきちんと交換してもらいたいという方は業者に依頼する必要があります。

オーバーフロー管の交換作業は少し難しいため、少しでも不安がある場合は専門家に修理依頼をすべきです。

業者に修理を依頼した時の費用は、約8,000円~15,000円と言われています。

さらに部品代や出張料金、その他の料金が加算されていくシステムが採用されがちです。

「タンクの着脱の難易度が高い」「タンク自体の交換が必要」と判断された場合は、さらに費用がかかることもあります。

業者を選ぶときに必須な行為が「相見積もり」です。

トイレトラブルの際はいくつかの業者に依頼して現場点検してもらい、実際の費用がいくらなのかを算出させ、そのうちの何社かで値段を見比べてください。

相見積もりを行うことで、提示される修理費が妥当な額かどうかもわかります。

業者によっては水道局指定の工事店もあります。

ぜひ、安心して任せられる業者を選びましょう。

オーバーフロー管の交換は自分でできるけれど難しいと感じたら業者に依頼!

タンク内の水位を一定に保つために必要な部品であるオーバーフロー管が破損していると、トイレの水漏れなどが起きる原因となります。

オーバーフロー管は壊れやすい部品なため、トイレのタンク内を掃除する時は注意です。

タンクにペットボトルを入れるのはやめてください。

オーバーフロー管が破損したときは、自分で交換する方法もあります。

しかしさらなるトラブルを避けるため、また少しでも不安を感じたり難しいと思ったりした場合は、水道業者やメーカーに交換を依頼しましょう。

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