トイレレバーの水漏れ修理方法!原因は水位調整とパッキン劣化
最終更新日 2020年7月29日
「あれ?トイレレバーの付け根から水漏れしてる…」
「なんでこんなところから‥これ、どうやって直したらいいの?」
この記事ではトイレのレバーから水漏れする原因と修理方法を解説していきます。
結論から申しますと、トイレのレバーから水漏れする主な原因は「タンク内の水位調整機能の不具合」と「レバーのパッキンの劣化」。
水位調整機能がきちんと機能していれば、レバーの高さまで水位があがることはないんです。また、もしそこまで水位が上がってしまったとしても、レバーのパッキン(隙間を埋めるゴム製の部品)が役目を果たしていれば、レバーから水が漏れることはありません。
レバーから水が漏れているという状態は、水位調整がうまくいっておらず、かつレバーのパッキンも劣化している、という状態。水位調整を正常な状態にし、レバーのパッキンを交換することで解決できますよ。
記事本文ではその手順や方法をくわしく紹介していきます。
まずは落ち着いて、いっしょに確認していきましょう。
なお、
「レバーが回った状態から戻らない」
「レバーが空回りしてしまう」
という場合の対処法は、下記の記事で紹介しています。
トイレのレバーから水漏れする原因は「水位調整の不具合」と「レバーのパッキン劣化」
冒頭でもお伝えしましたが、レバーの付け根から水が漏れるのは水位調整機能の不具合とレバー部分のパッキンの劣化。
通常ですとタンク内の水位はレバーの高さよりもずっと下にありますが、水位調整がうまく行われないためにレバーの高さまで水位が上がっている状態です。
これだけなら水は漏れてこないのですが、レバー部のパッキンは劣化すると縮んで硬くなってしまいます。するとそこに隙間ができてしまい、水が染み出してくるというわけです。
対処方法としては、まずはボールタップやオーバーフロー管、止水栓といった給水と排水に関わる部品を点検して水位を正常に戻すことです。
これだけでも水漏れは治るはずですが、レバーのパッキンも交換しておくとなお安心でしょう。
レバーのパッキンを交換するだけでも水漏れは改善するのですが、水位調整機能の不具合を直さなければタンク内の水位は高いままになります。
そのまま放置するとますます水位が上昇し、タンクの上から水が溢れてしまう可能性もあるので、必ず水位を正常な状態に戻しておきましょう。
次から、詳しい方法を紹介していきます。
トイレレバーの水漏れ修理!「タンク内の水位調整方法」と「レバーのパッキン交換方法」
先に紹介したとおり、レバーから水が漏れるのは水位調整の不具合とレバーのパッキン劣化が原因。ここではこれらを解決するために、
- タンク内の水位の調整方法
- レバーのパッキン交換方法
の2つの方法を紹介していきます。
ですがその前に、まずはトイレタンクの仕組みをカンタンに理解しておきましょう。
トイレタンクの部品名称、水が流れる仕組みを理解しておこう
タンクの水位調整やレバーのパッキンを交換していく前に、タンクの部品の構造や名称をカンタンに理解しておきましょう。
トイレタンクの内部構造、各部品の名称は上記のイラストのようになっています。
このうち、水位調整の役割を持っているのが浮き玉(ボールタップとアーム)とオーバーフロー管、そして止水栓です。
浮き玉(ボールタップ)はタンク内への給水開始 / 停止のスイッチのような役割を持っており、オーバーフロー管は過剰に給水された水を便器側に排水する役目を持っています。止水栓はトイレの水の元栓のような役割です。この3つの部品が正常に機能していれば、水位が著しく高くなるということはないはずなんです。
また、トイレタンクから水が流れる仕組みも理解しておくと、このあとの点検や修理が楽になり、原因も理解しやすくなります。レバーをひねったとき、タンクの中では下記イラストの①~④ように水が流れていきます。
タンク内の水位調整方法5ステップ
では、タンク内の水位調整の方法を紹介していきましょう。
タンク内の水位調整は、下記の5ステップで行います。
- タンクのフタを取り外す
- オーバーフロー管に詰まりや破損がないか確認する
- 浮き玉やボールタップ部分に不具合がないか確認する
- ボールタップや浮き球でタンク内の水位を調整する
- 止水栓で水の給水量を調整する
水位が異常に上昇している場合、水位調整の役割を持っている部品に破損等がないかも合わせて確認しておきましょう。
もし不具合の原因が部品の損傷の場合は新しい物と交換します。それぞれくわしく説明していきましょう。
①タンクのフタを取り外す
タンクのフタを持ち上げて取り外します。
もし外れない場合は少し持ち上げて隙間からタンク内部を覗いてみましょう。機種によって、ナットで固定されていたり、蛇腹ホースがフタにつながっていたりします。
その場合はフタを落とさないようしながら外しましょう。
内ブタがある場合も、ここで外しておきましょう。
②タンク内の水位を確認する
フタを外したら、タンク内の水位を確認してみましょう。
本来の適切な水位は、タンク内にあるオーバーフロー管という筒状の部品で確認できます。まずはこのオーバーフロー管に「-WL-」という表示がないか見てみましょう。
『WL』はウォーターラインの略で、その名のとおり「標準水位はここですよ」ということを示しています。
表示があれば、そのラインが本来の適切な水位です。
もし表示がない場合は、オーバーフロー管の先端から2〜3cm下が適切水位になります。
適切な水位の表示に対して実際の水位はどうか、確認して見ましょう。
レバーから水漏れしている場合は、おそらく実際の水位が適切な水位よりも高いはずです。
部品の異常を確認しながら、適切な水位となるよう調整していきましょう。
③オーバーフロー管に破損や詰まりがないか確認する
水位が高いことを確認できたら、オーバーフロー管に破損や詰まりないかを確認しましょう。
先にも紹介したとおり、オーバーフロー管にはタンク内の余分な水を便器に流す役割があります。ここに詰まりや破損があると水を便器に流すことができず、タンク内の水位が上昇する原因となってしまいます。しっかりチェックしましょう。
タンク内の水位が高くなる可能性として高いのは、オーバーフロー管の詰まりです。オーバーフロー管の筒の中を見て異物や汚れが詰まったりしていないかを確認しましょう。
破損として、よくあるのが根元からポッキリと折れてしまっているパターンです。もし折れや亀裂などの破損がある場合は、オーバーフロー管の交換が必要です。交換方法は下記の記事で詳しく解説しています。
④浮き玉やボールタップ部分に不具合がないか確認する
オーバーフロー管の点検が済んだら、浮き玉やアーム、ボールタップがきちんと動作しているか、破損などの不具合がないかをチェックしていきます。
上記の画像で各部品の名称をチェックしながら、作業してみてください。
まずは浮き玉を手でゆっくりと押し下げて水を出し、浮き玉を引き上げて水が止まるか試してみましょう。(※手洗い管ホースがある場合はタンク内に向けて濡れないように注意してください。)
浮き玉を引き上げて水が止まる場合、ボールタップは正常に動作しています。次の手順④に進み、水位を調整しましょう。
もし浮き玉を引き上げても水が止まらない場合は、次の点を重点的にチェックしてみてください。
- 浮き玉やアームが他の部品に接触していないか
- アームは壊れていないか
- 浮き玉は壊れていないか
- サビや汚れ、経年劣化はないか
もしアームや浮き玉が破損している場合は新品に交換し、サビや汚れがある場合は落としましょう。ただし、サビがあるということはそれだけ劣化している証拠。この機会に交換してしまった方が安心です。
「水が止まらないけど、上記のような異常が見受けられない…」
という場合は、ボールタップのピストンバルブ本体や、バルブの先端についているゴムパッキンが劣化しているかもしれません。 ピストンバルブを取り外し、新しいものに交換しましょう。
ピストンバルブの交換方法についてはこちらの記事で交換方法を詳しく解説しています。
⑤ボールタップや浮き球でタンク内の水位を調整する
オーバーフロー管や浮き玉、ボールタップに異常がない場合は単純にタンク内の設定水位が高い、ということが考えられます。水位が低くなるよう設定し、レバーから漏れることがないようにしましょう。
タンク内の水位調整方法はボールタップや浮き玉の種類によって方法が異なります。
ここでは下記の3種類の水位調整方法を紹介します。
- 水位調整リングがある場合の調整方法
- 水位調整リングがない場合の調整方法
- 浮き玉が円柱状の場合の調整方法
水位調整リングがある場合の調整方法
ボールタップにペットボトルのフタのような水位調整リングがある場合は、引き上げてロックを外し、リングを回して水位を調整します。左に90度回すと水位が8mm下がるので、目安にしましょう。
水位調整リングがない場合の調整方法
水位調整リングがないタイプの場合は、浮き玉のアームを下向きに曲げることで水位を下げる調整をします。
アームの付け根から曲げると折れてしまうので、真ん中からゆっくりと曲げましょう。調整が終わったら、アームの元にあるロックナットを閉め直します。
浮き玉が円柱状の場合の調整方法
浮き玉が球体ではなく円柱の場合は、浮き玉本体を右に回すことで水位を低く調整、左に回すと水位を高く調整できます。
調整ができたらタンク内の水を流し、設定したとおりに水位が低くなっているかを確認してみましょう。まだ水位が高い場合は上記の「水位調整→水を流して確認」の作業を正常な水位に戻るまで繰り返します。
正常な水位で水が止まればOKです。次の手順に進みましょう。
⑥止水栓で水の給水量を調整する
水位を正常に戻せたら、止水栓で水の給水量を調整し、タンク内の部品に故障があっても水位が上がらないようにしておきましょう。
先ほども説明しましたが、オーバーフロー管にはタンク内の余分な水を便器に排水し、必要以上に水位が上がらないようにする役割があります。このオーバーフロー管から排水される水の量よりタンク内に給水される水の量が多いと、タンク内の水位が上がってしまうのです。
最悪の場合、タンクのフタからジャバジャバと水が溢れてしまう可能性もあります。
もし部品に故障があっても水が溢れないよう、水量を調整しておくと安心です。
調整方法は下記のとおりです。
下のイラストも参考にしてみてください。
- 一度止水栓を閉める(止水栓についてはこのあと詳しく解説します)
- 浮き玉を手で押し下げ、止水栓を少しずつ開く
- 浮き玉を手で押し下げることで、タンクに給水された水がオーバーフロー管の先端から排水される。
- このときにオーバーフロー管の先端より1cm以上、水位が上昇しないように止水栓で給水量を調節する
止水栓での水位調整が完了したら、次はレバーのパッキンを交換しましょう。
レバーのパッキン交換方法8ステップ
水位を調整できたら、レバーのパッキンも交換しておくとなお安心です。
レバーのパッキン交換は、下記の8ステップで行います。
- 止水栓を閉めて水を止める
- トイレタンクの水を流す
- タンクのフタを取り外す
- レバーの先端にあるチェーンを取り外す
- レバーのナットを外し、パッキンを取り外す
- レバーを取り外す
- 新しいパッキンに交換して、レバーを取り付ける
- 逆の手順で元に戻す
それぞれの手順を詳しく解説して行く前に、作業に必要な道具を説明しておきます。
準備するものは作業に必要な道具
準備する物は下記の3つです。
- マイナスドライバー
- モンキーレンチまたはウォーターポンプフライヤー
- レバーのパッキン(丸ごと交換する場合はレバー本体)
パッキンまたはレバー本体は、便器に貼ってあるシールで品番を確認し、メーカー公式サイトなどで適合する物を調べて購入しましょう。
①止水栓を閉めて水を止める
まずは止水栓を閉めて水を止めましょう。
給水管をタンク側からずっとたどっていくと、上記のイラストのようなマイナスドライバーを差し込むところがあるはずです。これが止水栓です。マイナスドライバーを差し込み、右回しして栓を閉めましょう。
この時、必ず「何回まわしたか」をメモしておいてください。
交換が終わって止水栓を開けるときに必要になります。
ちなみに止水栓はトイレによってはマイナスドライバーではなく、手で回せるハンドルタイプのこともあります。こちらの場合も同じように、右回しして栓を閉めます。
もし止水栓がどこにあるか分からない場合は、家全体の水道栓を閉めて作業しましょう。
家全体の元栓は、戸建て住宅の場合は宅地内の地面に、集合住宅の場合は玄関横のパイプシャフト内にあることが多いです。
②トイレタンクの水を流す
トイレタンク内に水があると作業を行いにくいので、水を抜いておきます。
レバーをひねり、タンク内の水を流しましょう。
③タンクのフタを取り外す
フタを持ち上げて外しましょう。
先にも紹介したとおり、機種によってはナットなどで固定されています。
フタを落とさないように注意しながら、外しましょう。
④レバーの先端にあるチェーンのフックを外す
レバーの先端に繋がっているチェーンのフックを取り外します。
フックで引っかかっているのを、少し持ち上げるようにして外しましょう。(チェーンは長さ調整されているのでフックから外さないように注意しましょう)
外したフックはオーバーフロー管にかけておきます。
⑤レバーのナットを外し、パッキンを取り外す
レバーを固定しているナットをモンキーレンチで外しましょう。ナットを外すと内側にあるパッキンを取り出すことができます。
ナットを外してもパッキンがない場合は、タンク外側にパッキンがあるタイプですので、レバーを取り外すとことでパッキンを取り出すことができます。
⑥レバーを取り外す
レバーをタンク外側に向けて引き抜き、取り外します。長く使っているレバーだと固い場合があるので、タンク内側から外側へ少し力を掛けて押し出すと外れます。
⑦新しいパッキンに交換して、レバーを取り付ける
レバーを取り付け、新しいパッキンに交換します。(※レバーのパッキンは写真のようにタンク外側(レバー側)に設置するタイプと、タンク内側から設置するタイプがあります。)
このとき、レバーの上下を間違えないように注意しましょう。レバー本体には上側を示す突起がついているはずです。この突起が真上に向くよう取り付けましょう。
パッキンだけでなくレバーも新しいものに交換する場合は、取り替えておきましょう。
⑧逆の手順で元に戻す
パッキンを交換したら、取り外した逆の手順で元に戻していきます。
具体的には、下記のような手順になります。
- レバーに固定ナットを取り付け、閉める
- レバーにチェーンを取り付ける
- タンクのフタを戻す
- メモを元に、止水栓を開ける
固定ナットを閉めるときは閉めすぎに注意しましょう。
プラスチック製のナットは金属製のナットと違い、閉めすぎると簡単に割れてしまいます。まずは手でぎゅっと閉め、簡単に戻らない状態になればOKです。
最後にレバーで大・小ともに水を流してきちんと流れるかチェックし、問題がなければこれで作業終了です。お疲れ様でした!
まとめ
トイレのレバーから水が漏れている時の原因や対処法を紹介してきました。
ここで記事の内容を振り返っておきましょう。
- レバーから水漏れする原因は水位調整の不具合とレバーのパッキンの劣化
- 水位を通常の状態に戻し、レバーのパッキンを交換すれば水漏れは解決できる
- レバーのパッキンを交換するだけでも水漏れは改善するが、必ずタンク内の水位を下げておく
これを見ながらやればできるように書きましたが、もし少しでも不安がある場合などは無理せず、水道業者にお願いするようにしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
水漏れのトラブルが早く解決できることを祈っております。